モバイルデバイス時代の企業サイト--アプリからレスポンシブデザインに集まる注目

米山徹幸(IRウォッチャー・埼玉学園大学教授)2015年02月11日 08時30分

 今、iPadやiPhoneなどのタブレット、スマートフォンを手にする光景は、電車はもちろん職場の会議、工事現場などいたるところで目にする。

 こうしたモバイルデバイスからインターネット空間の情報にアクセスする時代が到来したのだ。実際、どうなっているのだろう。

 欧州のIRコンサルタント大手KWデジタルが18カ国の96社(そのうち42%はFTヨーロッパ500の採用企業)にアンケートした「コーポレート・ウェブマネジャーズ2014」(PDF)が、企業ウェブサイトへのアクセスでモバイルデバイスが占める比率を、欧州企業15社で追っている。

 この推移をみると、2011年に3%、2012年9%、2013年13%、そして2014年に25%である。3年間に8倍増の勢いだ。

 自社サイトの75%、レスポンシブデザインで当然、各社もこうしたトレンドに対応する。 具体的にはレスポンシブデザインやウェブアプリの採用である。もちろん、どちらかを選ぶやり方もあれば、この2つとも同時に採用している企業もある。

 レスポンシブデザインはさまざまな機種のモバイルデバイスのスクリーンサイズに適応して、最適な状態での表示や対応を可能にする。

 回答のあった96社のうち37%がレスポンシブデザインで自社サイトを作成し、さらに38%が2014年内に採用予定だという。

 つまり、2014年末に75%の企業サイトでレスポンシブデザインの仕様になる。4社に3社だ。2012年は100社に1社だけだった。わずか2年前のことだ。

 ウェブアプリは、モバイルデバイス向けに開発されたソフトウェアで、Apple StoreやGoogle Playにアクセスすれば、100万を超すアイコンが見つかる。とりたてて説明もいらないだろう。

 採用する企業は2012年に29%、2013年が38%で多かった。それが今回の調査では39%だった。前年から横ばいだといっていい。

 その理由は調査によると、以下の4つが挙がった。

  1. 自社アプリの自社サイトとは違う効用がいまひとつ不明である
  2. 自社アプリの利用やダウンロードが低調である
  3. タブレットやスマホの画面での自社サイトのユーザビリティがレスポンシブデザインで改善している
  4. アプリは「あれば結構なことだ」が、だからといって「なくてはならない」ものではない

 こうした事情もあってだろう。

 回答者が挙げる最優先の課題としての順位ランキングでアプリは14%で12番目だった。他方、レスポンシブデザインは57%で全体の2番目。トップはコンテンツの構成で60%だった。

 IR担当者のベストプラクティスに各社のIR情報も、モバイルデバイス時代を迎えている。機関投資家の68%が、一日中、こうしたモバイルデバイスでIR関連情報を入手しているという米IRコンサル大手IRappの調査もある。

 同社のJ・コーエンCEO(最高経営責任者)は、IR有力誌IRマガジン電子版(2014年9月11日付)に寄稿して、「この数字は間違いなく増えていく。投資家から御社のモバイルデバイスにIR関連のコンテンツがないのはどうしてなのかと問われる前に、IR担当者がモバイル戦略の構築に着手することが重要だ」と語り、「今後も投資家の仕事は、まずます、こうしたモバイルデバイスに大きく左右されることは疑問の余地がない」と指摘する。

 そして「モバイルのIR戦略をいま用意するのか、あるいは1つのグッドオプションとして最後まで取っておくのか。どちらにしても、IR活動で、やらなければならないベストプラクティスである」と続けた。これは、日本企業のIR担当者にも当てはまるアドバイスだと思うのだが、どうだろう。

◇ライタープロフィール
米山徹幸(よねやま てつゆき)
IRウォッチャー、埼玉学園大学大学院教授。全米IR協会(NIRI)会員。埼玉大学大学院客員教授。著書に「21世紀の企業情報開示 ~欧米市場におけるIR活動の進展と課題~」(社会評論社)など。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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