投資家やアナリストの立場で見るIRウェブサイト

米山徹幸(IRウォッチャー・埼玉学園大学教授)2014年10月17日 07時30分

 社外向けに自社情報を発信するIR(投資家向け広報)ウェブサイト。そこに掲載される情報は、24時間365日休まず、国境を超えて世界に発信され、その重要性はよく理解されている。

 もしも各社のIRウェブサイトがなければ、メディアはもちろん、投資家や証券アナリストの仕事は大混乱に陥るにちがいない。

 実際、昨年の秋、米国で発表された「株主コンフィデンス365スタディ」は、投資家や金融メディアの関係者(1万900人)を対象にした調査にて、「新たな株式投資の調査をする場合」、45.6%が「各社のIRサイトにアクセスする」という報告があった。

 そして、「保有している、あるいは関心のある株式の会社の四半期決算の電話会議をネットで聞く」という回答は40.3%で、ウェブサイトのライブが25.4%、アーカイブが34.9%で、両者で6割を超える。さらに「電話会議の議事録を読む」との回答も47.9%に及んだ。

 では、各社のIRウェブサイトの中で、どこにいちばん関心があるのだろうか、また、どんなコンテンツを求めているのだろうか。

 先頃、大手IR業界誌のIRマガジンが1年にわたって、米国・欧州・アジアで数千人もの投資家やアナリストを対象にIRウェブサイトについて調べた結果が明らかになった。

 米国では「IRウェブサイトで改良したいもの」として、「直近のウェブカンフェランスやプレゼンテーション」がトップ(18%)、2番目が「アーカイブ情報」(17%)だった。

 欧州では「企業サイトの情報にないもの、あるいは不満に思うもの」として、まず「アーカイブ情報」(16%)、次に「ウェブカンフェランス/プレゼンテーション」(15%)が続いた。「IRウェブサイトでいちばん見たいもの」を問うたアジアでも「カンファレンスのプレゼンテーションと議事録」がトップだった。

 「ウェブカンファレンス」は、四半期決算の電話会議中継から証券会社が主催するセミナーまで、カバーする範囲が広いが、米国でも欧州でも、またアジアでも、関心が高い。

 「アーカイブ情報」にはSEC(米証券取引所)など監督当局への決算報告もあれば、カンファレンスで使われたパワーポイント資料、議事録も入る。

 見逃せないのは米国と欧州で3番目に挙がった「ナビゲーション問題」(それぞれ14%、10%)だ。クリックして次のページが立ち上がるまでに思いのほか時間をとられ、苛立つことがある。そんな体験をする人が少なくない。

 IRウェブサイトは「四半期決算の電話会議」、「議事録」、「ナビゲーション」を中心に、コンテンツの運用や更新を考えたい。

 なにしろ、見方によっては、IRウェブサイトの出来次第で、ひいては自社の株式に対する投資決定も左右されかねないといっていいかもしれないのだから。

◇ライタープロフィール
米山徹幸(よねやま てつゆき)
IRウォッチャー、埼玉学園大学大学院教授。全米IR協会(NIRI)会員。埼玉大学大学院客員教授。著書に「21世紀の企業情報開示 ~欧米市場におけるIR活動の進展と課題~」(社会評論社)など。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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