この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを週替わりでお届けします。今回はタイから、現地企業のO2Oの取り組みをお伝えします。
O2O(Online to Offline)という言葉が日本でよく聞かれるようになったのは2012年頃からです。この頃、とりわけスマートフォンやタブレットが普及したことによる影響が大きいといわれています。
その頃のタイはというと、年々ネットユーザー数が増え、日本と同様にスマートフォンも一気に普及しました。結果として、タイにおけるネットユーザーの多くは、スマートフォンからアクセスするのが一般的になりました。
しばしばタイをはじめとする東南アジアでビジネス展開を検討する際に、「タイムマシン経営ができる」と話題にのぼることがあります。タイムマシン経営とは、海外ですでに展開しているビジネスを国内に“輸入”すること。ここでは日本のビジネスをタイに持ってくることを指します。
筆者はこれをある意味では正解だと思いますが、必ずしもすべてにあてはまるとは思っていません。特にこのスマートフォン領域においては、日本もタイもほとんど同じ歴史しかなく、場合によってはタイのほうがスマートフォンの利用は進んでいるように思います。
タイのスマートフォンユーザー数は年々増加しており、Googleが運営するOur mobile planetによれば、2013年時点で2100万人にのぼります。また、自宅にデスクトップやノートPCを保有していないユーザーも多く、インターネットにアクセスするデバイスはスマートフォンが中心になっているのが現状です。そのため必然的に、ウェブサイトの制作や企業が消費者とのコミュニケーションを考える場合にも、スマートフォンをどのように活用していくかを企業側は考える必要があります。
メディアとしては、Sanook.comやKapook.comといった大手ポータルサイトのほか、FacebookやLINEなどがプラットフォームとしては多くのユーザーを抱えており、こういったSNSと連携したキャンペーンなどが多くみられます。
以前の記事でバンコクにおける1人あたりのGDPは決して低くないと書きましたが、それにも増して現在多くのデパートやショッピングセンターがオープン、または建設中です。たとえばサイアムというショッピングの中心地周辺では、サイアム・パラゴン、サイアムセンターなどをはじめとして複数のデパートが立ち並んでいます。都市部の各駅周辺で同様の状況になっており、供給過多になるのは目に見えている様に思います。
このような状況からも、今後タイ、特にバンコクにおいてはO2Oを活用した販売促進や、CRM(Customer Relationship Management)の重要性が高まっていくものと予想されます。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス