シャープでは、2005年に業務用ディスプレイ市場に参入以降、2008年には当時の世界最大となる108型業務用ディスプレイを発表。2010年にはマルチディスプレイを発表し、業界をリードしてきた。
現在では、マルチディスプレイを筆頭に、90型の大型ディスプレイから20型の小型タッチディスプレイまで24機種をラインアップ。高輝度タイプや高精細タイプ、薄型軽量タイプ、IGZO液晶による4Kディスプレイなど用途に応じた提案を可能としている。
「テレビは1日8時間の使用を前提としているが、デジタルサイネージは1日24時間の稼働を前提としている。家庭用テレビとはまったく違う耐性を持った部品を利用することで、24時間利用下での保証を達成している。特に電解コンデンサは、熱、湿度にも強いものを採用。10Vの利用環境が想定されていても、30Vまでの耐力がある部品を使用することで、寿命を伸ばしている」(シャープ ビジネスソリューション事業推進本部ビジネスソリューション営業部・高森仁志部長)という。
一方で、設置に対する工夫でもシャープは先行している。
昨今では、駅コンコースや商業施設の柱部分にデジタルサイネージが設置されることが多い。この背景には、耐震補強で柱を強化する際に、同時にデジタルサイネージ化を図るといった動きがあるからだ。
その際に、従来の柱を削らずにデジタルサイネージを埋め込むためには、薄い筐体や軽量化したディスプレイが求められている。
そこでシャープでは、60型および70型の薄型のデジタルサイネージを製品化。これが柱への埋め込み型利用などで数多く採用されている。
例えば、JR博多駅の駅コンコースでは大理石を使用した柱の側面にデジタルサイネージを導入。その大理石を削ることなく設置するため、天井からディスプレイを吊り下げる方法を新たに採用することになった。
そこでシャープは、従来モデルでは約100mmあった厚みを39.4mmと約6割の薄型化を実現。32kgと従来モデルに比べて4割以上の軽量化を達成した製品を用意。これによって、吊り下げという新たな設置方法を提案することに成功した。
「板金部をプラスチックにしたほか、発光効率の高いLEDの採用、周辺回路などの見直しによって、薄型化、軽量化を実現した」(高森部長)という。
そのほかにも、屋外に設置した際にも安定稼働するように空調機能を内蔵した製品なども用意。加えて、複数のデジタルサイネージを一括で管理したり、時間ごとにコンテンツ配信の内容を自動的に変えるための制御ソフトウェア「e-Signage」によって、管理性を高めるといったことにも取り組んでいる。
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