アジア現地駐在員マーケティングレポート

シンガポールで過熱する「タクシー配車アプリ」--その現状は

島田裕一(アウングローバルマーケティング)2014年10月15日 08時00分
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 この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを週替わりでお届けします。今回はシンガポールから、スマートフォン向け配車アプリに関する現地の状況をお伝えします。


シンガポールのタクシースタンド

シンガポールではタクシーが“日常の足”

 都市国家であるシンガポールはコンパクトで、交通網が他のアジア諸国と比べてよく整備されています。その中で、地下鉄とバスに並び、通勤・通学や観光に欠かせない移動手段となっているのがタクシーです。

  • シンガポールの大手タクシー会社「ComfortDelGro」の車両

 初乗り運賃が3.2シンガポールドル(約260円)と日本に比べて格安のため、駅から遠い場所にいたり、大きな荷物を持っていたりする場合は頻繁に利用します。また、シンガポールでの自動車所有率が15%に抑制されていることも、タクシーが利用される要因の一つです。

 シンガポールで自動車を購入するには、日本で購入する場合に比べて3~4倍のコストがかかると言われています。政府が交通渋滞の緩和に力を入れているため、自家用車の購入に対する税金を約100%掛けていたり、新車を購入する際に政府が発行するCOE(新車購入権)を公開入札で入手したりする必要があります。それらを勘案した場合、トヨタのプリウスで約1500万円という値段になるとのことです。

 これらのことから、タクシーの利用者は1日約58万人と、単純な人口換算をしても日本の3倍の頻度で利用されていることがわかります。

需要過多でタクシーが足りず

 ただし問題点として、時間帯によっては流しのタクシーがなかなか捕まらないことがあります。特に雨の日は誰しもがタクシーを使いたがるため、数十分待っても空車の緑のライトが点いたタクシーは見当たりません。

 この要因は、需要に対するタクシー台数の少なさにあります。

 アジアの大都市4箇所におけるタクシー1台あたりの想定利用者数を、「(年間旅行者+人口)/タクシー登録台数」で計算してみたところ、シンガポールが743人、バンコクが223人、香港が396人、上海が653人と、相対的にシンガポールはタクシーが捕まりにくい環境にあるようです。

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