日本でも3月に正式サービスが始まったスマホアプリを使った配車サービスのUber。日本ではハイヤー会社(UberBlack)やタクシー会社(UberTaxi)と提携し、今のところ東京都内での配車サービスに限定しているようだ。なお、8月に東京で展開を開始した高級タクシー版、UberTAXILUXは世界初である。
Uberは、現在、45カ国200都市以上に進出しているが、国や都市によって提供しているサービスはさまざまである。同社が提供しているサービスには、2010年に開始した商業運転免許(日本の第二種に相当)を所有するドライバーによる黒塗りの高級車(ハイヤー)UberBlackに加え、個人がマイカーを使ったUberX(ヨーロッパではUberPop)、 SUV車のUberSUV、UberSUVの廉価バージョンUberXL、タクシー会社と提携したUberTaxiがあり、どのサービスが提供されているかは都市によって異なる。
Uberは米国内でサービス開始からまもなく、違法タクシー(白タク行為)であるとタクシー協会から提訴され、州や自治体からも罰金を課されて営業停止を命じられたが、各都市や州ごとに一定の規定や新たな法律に従うことで対処してきた。海外でも同様のバトルを広げているが、タクシー同様、最低運賃の適用を義務付けられたバンクーバーからは2012年に撤退している。
今年に入り、ヨーロッパ各国でUberに対しタクシー運転手らによる激しい抗議デモやストライキが起きており、フランスではタクシー運転手がUber登録車を襲撃する事件も起きている。ドイツではベルリンやフランクフルトのタクシー協会による提訴を受け、ドイツ全土でUber禁止の判決が出たものの、上告で覆されたが、9月にベルリンとハンブルグの法廷で自治体はこうしたサービスがドイツの法律を違反していると判断すれば禁止できるとの判決が下された。ブルッセルやバルセロナでも、Uberは違法として禁止されている。
Uberでは、ベテランロビイストを雇いヨーロッパの防壁を突破しようとしているが、米国内と同様、管轄当局と交渉し、新たな法規を受け入れることで対処する姿勢のようだ。
UberにはGoogle Venturesも出資しているが、グーグルのシュミット会長は、9月に欧州委員会の媒体で欧州単一デジタル市場を促す論評(Op-ed)を掲載し、「ヨーロッパは破壊を受け入れ、古いやり方は競争に直面し、革新を強いられる必要がある。たとえば、Uberはタクシー市場を揺るがせている──良い意味で。利用者は利便性と低料金を享受できる。当然、タクシー業界は面白くない」とUberへの抵抗を批判した。
これに対して欧州では、「欧州経済が再生するには革新が必要だ」という意見もある一方、「儲けだけ米企業に吸い上げられてたまるか」「労働者の保護がなければ、貧富の差は広がるばかり」「誰もがシリコンバレーのようにがむしゃらに働きたいわけではない。無人自動車やiPhoneの更新なんてどうでもよくて、ただ人生を楽しみたいだけの人たちもいるんだよ」「グーグルは自分たちは市場を独占して排他的なくせに」という声も少なくない。
シュミット会長は「雇用を創造するのはニュービジネス。ハイテク職はローテク職より賃金が高く、ヨーロッパの失業問題を解決するにはデジタル起業が必要」とも述べ、Uberも個人のドライバーらが事業主(独立請負業者)として収入を得るチャンスを与えるものと期待されていた。しかし、最近では、米国でUberに対し、Uberのドライバーによる抗議デモも起こっている。後編では、こうしたUberの抱える問題点について触れたい。
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