サムスン「Gear Fit」レビュー--フィットネス向け曲面ディスプレイ搭載スマートバンド - (page 5)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2014年04月28日 07時30分

 エクササイズを促す新たなしくみを考案したり、エクササイズの内容を改善することは、確かにウェアラブル技術が目指すべき方向だ。Gear Fitは心拍数のデータと歩数計を使っているが(これは、ほとんどのフィットネスバンドが持つ、加速度計を使用した歩数計の情報よりも少し多い)、これは新たに重要な一歩を踏み出したと言えるだろう。しかし、ライフスタイルを記録したり、ライフスタイルを改善するための方法のアドバイスする面では、Basis Bandや「Jawbone Up」には遠く及ばない。その原因の一端は、使いにくく、使い方も分かりにくい「S Health」アプリにある。

 Gear Fitのリリース直前に公開されたソフトウェアアップデートでは、睡眠を記録する機能を追加している。これは、ほかの多数のフィットネスバンドでは既に存在する機能だ。Fitでは、ユーザーが「Sleep Tracking」アイコンをタップすることで睡眠用セッションがスタートし、1度サブメニューに入ったら再度タップする必要がある。起床時にユーザーは、そのセッションを再び自分で停止しなければならない。筆者はこれを数回試したが、セッションの開始や終了を忘れてばかりだった。そして、サムスンのS Healthアプリは、ユーザーの睡眠データが何を意味するのかはっきりと説明おらず、それを分析するハブさえある。それに対し、Misfitの「Shine」やJawbone製品のようなバンドは、はるかに優れた働きをする。


提供:Sarah Tew/CNET

 S Healthとの同期に関しては、2週間以上を経ても筆者はまだ問題を抱えている。筆者のエクササイズ履歴はGALAXY S5と同期していないようだ。そして、データの意味を理解するための分かりやすいチャートがない。歩数計と心拍情報は別々のサブセクションに保存されているが、必要以上に単純化したフラットなデザインによって、アクセスする必要のあるものを見つけることが難しくなっている。さらにサムスンのソフトウェアは、次にするべきことを勧めるためのデータ解析をほとんどもしくはまったくしていない。平均的なユーザーは、心拍数の計測結果について、その扱い方を知らない。そのため、自分の心拍数に関する経時的なグラフはあまり価値を持たない。少なくとも、歩数計は「1日あたり1万歩」という動機となる目標を自動で設定している。心拍数を記録する動機は何だろうか?

 S Healthアプリには、健康保険会社Cignaによる独自の「コーチ」セクションがある。その質問や設定が推奨されているサブ目標は、体重を減らす、週数回は体を動かす、ストレスを減らすなど、保険料を少し割り引いてもらうために職場で受ける健康保険のアンケートを思い起こさせる。これらの目標は、Gear Fitを使ってできることには置き換えられていないようだ。筆者としては、Gear Fitを使うにあたり、S Healthが分かりやすいツールになってもらう必要がある。

 サムスンのソフトウェアは、扱っている健康データについて「レクリエーション目的に限定されたもの」だと必ず表示しているが、このような免責表示は他の多くの健康用途のウェアラブルデバイスでも行うべきだろう。それらのデバイスは、医療用機器として認可されたものではないためだ。また実際、このデバイスの心拍数モニタは、それを感じさせるものになっている。必要不可欠なものというよりは、娯楽目的のものだ。ウォーキングをした後に、自分がどれだけ運動したかを把握するには役に立つが、その心拍数を下げるのに役立つ機能は持っていないし、その点ではS Healthも同じだ。つまり、このデバイスで得られたデータにはソリューションが用意されていないのだ。

スマートウォッチとしてのGear Fit

 新しいスマートウォッチとしてのGear Fitはどうなのだろうか。外見はクールだし、通知は大量に受け取れるが、知っておいて欲しいこともある。Gear Fitでは独自のアプリを実行することはできず、ディスプレイの形はテキストを読むのにあまり向いていない。


Pebble SteelとGear Fit。
提供:Sarah Tew/CNET

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