Gear Fitは1回の充電で、歩数を数え、頻繁に心拍数を計測し、通知を転送する状態で数日使えた。おそらく、1回の充電で2日間使えると思えばいいだろう。これは、Fitbit ForceやFuelBand、Jawbone Upと比べても、Pebble Steelと比較してさえかなり短い。他のものは、すべて1週間程度は使える。これは2013年のGALAXY Gearのバッテリ持続時間に近い。Bluetooth、そして、歩数計での継続的な記録をオフにするとバッテリ持続時間を延ばせるかもしれない。だが、Gear Fitが未接続の状態でアクティビティを追跡しないなら、同デバイスを身に着けておく理由があるのだろうか?
このため、常に充電アダプタを用意しておく必要がある。Gear FitはMicro-USBで充電できるが、Micro-USBを接続するには、付属品のスナップ式のドングルが必要となる。
サムスンが現在持っているウェアラブルデバイスのラインアップで不思議なのは、3つの選択肢があるということだ。Gear 2の価格は299ドルだが、Gear 2 NeoとGear Fitはどちらも199ドルに設定されている。Gear Fitは大抵のフィットネスバンドに比べれば高いが、実はそれほどでもない。多くの上位機種は150ドル前後であり、Gear Fitとの差は50ドルしかない。
Gearシリーズから1つ選ぶとすれば、Gear 2 Neoを選んだ方がいいかもしれない。こちらは同じ値段で、アプリも利用でき、音楽ファイルを格納することもできる。心拍数モニタと歩数計も付いており、さらに機能のセットも充実している。つまり、ユーザーはサムスンから、機能が充実したスマートウォッチを選ぶか、スタイルのよいGear Fitを選ぶか、という奇妙な選択を突きつけられているわけだ。Gear Fitのデザインは、他の機能を諦められるほど素晴らしいものには見えない。
さらに、もう1つの問題もある。「Android Wear」を搭載したスマートウォッチは、サムスン製スマートフォンユーザーにも魅力的な選択肢になり得るのだ。とすれば、そもそもGearシリーズを選ぶ必要はあるのだろうか。
筆者はGear Fitはもっと多くのスマートフォンで利用できるべきだと心から思う。もしサムスンが、本当にGear Fitをウェアラブルに慣れてもらうためのエントリークラスのデバイスにしたい、あるいは、サムスンの新しいモバイル技術を初めて体験してもらう入り口にしたいのであれば、Gear Fitは他のAndroidスマートフォンや、「iPhone」でも使えるべきだ。多くのフィットネスバンドは、iOSとAndroidの両方に対応している。Gear Fitの対応機種が制限されていることで、そもそもこのデバイスの購入を検討する人の数が大きく減っているはずだ。
Gear Fitはわずか6カ月前にサムスンが発売したGALAXY Gearと比べると大きく変わっており、同社のこの進化のスピードは評価されるべきだ。しかし、Gear Fitは「シンプルなことはよいこと」という基本的な考え方に従っており、スマートウォッチとフィットネスバンドを1つのデバイスにまとめれば、よりよいスマートウォッチになると考えている。
筆者も、その精神には賛成する。特に、奇妙で大部分が役に立たないスマートウォッチ用アプリの世界と格闘する気がないのなら、なおさらだろう。だが、Gear Fitの設計は、最高のフィットネスバンドにも、最高のスマートウォッチにもなれないものだ。不思議な形の画面、短いバッテリ持続時間、高い価格、サムスンのスマートフォンが必要(今のところ)などの要素が積み重なって、興味はそそるものの、制約が大きいデバイスになってしまっている。最近のソフトウェアアップデートでは、サムスンがFitをできるだけ早くより優れたものとするよう尽力したであろうことがわかる。しかしFitの最大の問題は、ハードウェアではなく、その下にある拡張しすぎたソフトウェアだ。ユーザーを健康面から支援するには不十分で、真に自動化されたウェアラブルバンドとなるほど賢くない。Gear Fitは次を示すものであるが、少なくとも筆者にとっては、ほかのより優れたデバイスを見限るほど優れたものではない。
筆者が欲しいのは、面倒がかからず、頻繁に充電する必要がないバンドだ。これらが一番重要なポイントだと考えている。それが、筆者がPebbleやMisfitのShineを使っている理由だ。今のところ、この初代のGear Fitは筆者が夢見たような完璧なデバイスではない。これは見た目がクールなだけに残念だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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