スマホを企業戦略に導入するためのステップとポイント - (page 2)

新野文健(カケザン)2014年04月18日 11時00分

モバイル施策で重要になる3要素

 ではモバイル施策を実施するにあたって、どのような点に意識を向けるべきか。Forrester Researchのシニアアナリストであるメリッサ・パリッシュ氏の論文にあるものだが、重要なのは、即時性、シンプルさ、コンテキストの3要素だ。

 即時性は当然だろう。その場ですぐに使えるものを提供するのが、モバイルの役目だ。たとえば出先でこのレストランがおいしいかどうかを知りたい。あるいはその場で使えるクーポンや店舗を探すときの地図といった情報も即時性がないと意味がない。

 そうしたニーズを満たすためには、第一に表示スピードが大事になる。LTEなどに代表される通信スピードだけでなく、必要な画面にいかにすぐにたどり着けるかといったページの作り方も重要だ。またSEO対策ももちろん重要だろう。検索して上位に出てこなければ勝負にならない。

 次にシンプルさ。目的を絞り込み、迷わせないユーザーインターフェースが肝要だ。項目をシンプルにまとめる。一目でわかるメニューの数は7つまでといわれる。その原則を守る。また解説文なども長すぎないことが大切だ。ニュースでもそうだが要約が重要で、ディティールを読みたい人はそこからリンクさせる。2014 CES(米家電見本市)で、 ヤフーのCEOである マリッサ・メイヤー氏は、「ti;dr」という言葉を紹介した。これは、Too long; didn’t read(長すぎると読まれない)を意味する。

 そして、最後がコンテキスト。脈絡である。ユーザーが、どんな場面でその広告や情報に遭遇するのかを意識してコンテンツやサービスを考える必要がある。その情報と接触する時間や場所、さらにその人それぞれの行動履歴やよりパーソナルな情報も組み合せて、どのような情報がいいのか、その中身とデザインなどのスタイルを考える。

 位置ベースであれば、NTTドコモのサービスである「メッセージS(エリア・日時配信)」などが活用できる。また、「LINE@」を使った事例だが、雪の日に来店したらホットコーヒーを無料プレゼントするクーポンを発行しているレストランもあった。こうした即時性にも、スマートフォンならば対応できる。

 このほか、寝不足のサラリーマンに向けに配信された、毎朝異なるタレントの癒し画像とボイスが聴ける「お疲れさんアラーム」というアプリも評判になった。このように、どのようなターゲットが、どんな場面で必要な情報やコンテンツなのかを細かく設定して対応することが重要だ。

 スマートフォンマーケティングの世界とは、そうした非常にパーソナルなマーケティングの世界である。まさにOne to Oneマーケティングといえるだろう。

(執筆:カケザン クリエーティブ・プランナー 新野文健)

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