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スマホを企業戦略に導入するためのステップとポイント

新野文健(カケザン)2014年04月18日 11時00分
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 この連載では、企業でのアプリのプロモーション活用から、スマートフォン広告で重要な位置を占めるテクニカルな運用型広告、メディアやアプリ・マーケットなどの市場環境を含め、“デジタルマーケティングの今”をお伝えする。

 前回に続き、D2Cグループのプランニングブティックであるカケザンが、モバイルを主軸としたデジタルマーケティングのあり方について説明する。今回は、スマートフォンをマーケティング施策に取り込むための実践編とさせていただきたい。

準備から導入まで--カスタマージャーニーマップを活用する

 まずは準備期から。前々回の記事の冒頭に記したようなチェック項目に答えて、現状を把握することが必要だ。スマートフォンからアクセスする人の比率や、スマートフォンからアクセスしている人が好んで見るコンテンツや検索キーワードは何が多いか。さらに競合調査を含め、ログ解析ツールやニールセンのネット視聴率のモバイル版などを駆使して調査する。

 次にテスト期。全社のウェブサイトをいきなりリニューアルするのはコストが掛かりリスクもあるので、たとえば1つのキャンペーンサイトをPCとスマートフォンの両方に対応させるなど、一部のコンテンツをモバイル対応させるところから始める。ユーザーの反応を重視し、改善の参考にしていくことが肝要だ。

 そして導入期。本格的にスマートフォンサイトに最適化をする、または今あるサイトを必要に応じてリニューアルしていく。その際に、カスタマージャーニーマップ(顧客体験モデル)を活用する。これは、顧客がサービスを利用したり、製品を購入したりする際に、そのプロセスのさまざまな段階における顧客のニーズを満たすために用意すべき施策や、その施策によってもたらされる顧客の感情の動きなどを時系列に沿って視覚的に表現するモデルである。顧客行動のコンテキストを旅(ジャーニー)になぞられて可視化するものだ。

 まずは顧客モデルを決める。これをペルソナという。F1やF2といった性別、年齢層だけでは何も特定できない時代だ。所得や性格、趣味、居住地などの詳細なモデルを作り、彼らのニーズや対象となる製品、サービスに対するスタンスを明確にする。そうすれば、そのモデルごとのライフスタイルはもちろん、商品に対するニーズや期待値も自ずと見えてくるはずだ。

 次にそうした顧客が何を最終的に求めるかを考える。そして、商品を認知していない段階から、その最終的なゴールに向かって顧客が歩む旅を時系列で図示していく。どのようなプロセスを経ることで、顧客を旅のゴールに導けるのであろうか。段階を決め、段階ごとに顧客が商品にふれるタッチポイントを明確にしていく。現状、自社が持っていないタッチポイントこそ重要であるから、その可能性を見つけ出していく作業ともいえる。

 その次に、トリプルメディアにおけるスマートフォンの役割と戦略を考える。SNSに代表されるアーンドメディアではすでにかなりスマートフォンの存在感が高まっているので、そこと自社のサイト(オウンドメディア)をシームレスにつないで、SNSから自社サイトにいかに効率よく消費者を誘導するかを考えることが重要だろう。


導入ができたら新たなビジネスモデルを構築

 そして、いよいよチャレンジ期。以前紹介した、日本交通のタクシー配車アプリなど、新たなビジネスモデルを作り出すアプリやサービスの開発がメインになる。

 最近の事例で言えば、スターバックスの「e-Gift」は秀逸だった。送り先の住所を知らなくても、LINEやFacebookのIDさえ知っていればギフトカード(オンラインチケット)にメッセージを添えて、友人にドリンクを贈れるものだ。たとえば、傘を貸してもらったお礼に、コーヒーを一杯プレゼントする。これは粋だろう。主にスマートフォンでの利用を想定しており、キャリア決済やクレジット決済に対応している。

 最後が拡大期だ。スマートフォンをハブとして、バーチャルとリアルな現場をつなげようという施策だ。O2Oやオムニチャネルといわれる領域である。リテールだけでなく、CRM、電話のサポートセンター、eコマース、POS、ソーシャルメディアなどとうまくスマートフォンを連携させる。実店舗と消費者をつなげるデバイスとしてスマートフォンを活用するわけだ。

  • 「バーチャルストア」のイメージ

 ユニークな事例としては、テスコという韓国のスーパーが地下鉄構内で展開した「バーチャルストア」という新しい販売形態がある。駅構内に張り出された超巨大なポスターに商品の写真とQRコードがついていて、それをスマートフォンで読み取ることで購入ができるものだ。読み取った商品をネット決済すると、自宅まで配達してくれる。

 これによって、自宅の最寄り駅から実際のスーパーに寄って買い物をする手間が省けるわけだ。何がすごいかというと、これまでeコマースに馴染みのなかった人たちにも、電車の待ち時間という隙間時間を使って買い物をさせることに成功した点だろう。この施策によって、テスコは韓国で売上高2位だったポジションを、新たに店舗開発することなく、1位に押し上げたそうだ。

 もう少し手近なところでは、ドコモが提供している「ショッぷらっと」のような、店舗に立ち寄ってチェックインするとポイントがもらえるサービスは、プッシュ通知を使って近隣の人を呼ぶソリューションになっている。

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