PC、特に11インチのノートPCや、ポケットに入るくらいの8インチタブレット以外の製品を300ドルで購入しようというのであれば、見た目や感じの素晴らしさに完全に満足することはできないはずだ。一方、期待値をそれなりにした場合、東芝のChromebookは期待を上回る製品となる。ふたの外側と本体底面のプラスチックにはわずかにテクスチャが付けられており(これにより手で持った際に滑りにくくなる)、ふたを開けると目に入ってくる銀色のつや消し加工された本体と黒いキーボードのコントラストは少しAppleの製品を思い起こさせる。
キーボードの大きさは、HPの14インチモデルを別にすればChromebookのなかで最大となっており、EnterキーやShiftキー、Tabキーはすべて大きく、正しい位置に配置されている。また、当然ながらWindowsキーはなく、その場所にはキー2つ分の幅を持ったAltキー(Chromeキーではない)が配置されている。
タイピングは迅速に行え、Google Driveを使用してクラウドベースの文書を編集している際であっても応答性に問題は感じられず、クリックパッド型の大きなタッチパッドを操作しても遅延はなく、小型のChromebookでよく経験するタップミスもなかった。普段の使用で多用する2本指でのスクロール機能も、それなりの価格のWindows搭載ノートPCに匹敵するほど快適に動作した。
しかし、欠けているものが1つある。それは最近のWindowsシステムの多くでは、安価な製品ですら搭載されるようになっているタッチスクリーンだ。GoogleのChrome OSはタッチスクリーン機能がなくても「Windows 8」ほどには混乱しないようになっているとはいえ、筆者はそれでも、画面を直接操作してスクロールしようと無意識に手を伸ばす瞬間が何度かあった。Chromebookを使用するうえでは犠牲にしなければならない点もあるということだ。
Chromebookの狙いは、数年前における安価なネットブックの狙いとよく似ており、機能に制限があっても適切な価格であり、ちゃんと目的を果たせるのであれば、多くの人が購入するだろうというものだ。
Chrome OS(「Chrome」ブラウザと本質的に同じエクスペリエンスとなる)ではウェブベースのアプリしか実行できず、何らかの有益な使い方をするにはインターネット接続が必要となる。しかし、「Gmail」や「Netflix」といったウェブベースのツールの台頭を考えた場合、Chromebookは少なくとも2台目のPCや旅行用のPCとして優れた候補になるだろう。
Chrome OSはアップデートとともに進化し、より有益なファイルシステム(もっともほとんどの製品ではストレージとして16Gバイトしか搭載されていないが)や、一部の機能、特に「Google Docs」や「Gmail」使用時のオフラインアクセスが実現されるとともに、「Photoshop」の緊急避難的な代替として使える「Pixlr」、基本的な3Dグラフィックスを用いたブラウザベースのゲームといったChrome OSアプリのコレクションが「Google Play」ストアから容易に検索できるようにもなっている。
13.3インチのディスプレイはネイティブ解像度で1366×768ピクセルとなっている。これはさほど素晴らしい値ではない。十分使いものになるとはいえ、同製品は視野角の広いIPSディスプレイではない。このため視野角外から見ると極端に見栄えが悪くなり、色合いや画質が劣化する。300ドル程度の13インチノートPCで多くを期待するのは難しいが、画面はグレア仕上げではなくマット仕上げとなっているため、部屋の明かりが反射して気になるということがないという点は伝えておくべきだろう。
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