1月、米国の調査会社が、Facebookの米10代(13~17歳)のユーザー数が、2011年に比べ300万人、25%減少したという調査結果を発表した。
これは、前回の調査時に13~17歳だったユーザーらが、18~24歳の年齢層に入り(同層は8%減少)、「新たな10代がFacebookに加入しなくなった」という見方もできるだろう。しかし、過去3年で、大学生ユーザー数は59%減少しており、落ち込みはさらに激しい。
また、数カ月前の別の調査でも、2012年第四半期にピーク(79%)に達した米10代(16~19歳)におけるFacebook・アクティブユーザー(過去1カ月にFacebookを利用。ログインしただけでは含まれない)の割合が、2013年第三四半期には63%に下落している。
こうした傾向は米国だけでなく世界的にも見られ、50%以上の減少を見せたオランダを筆頭に、アジアとヨーロッパを中心に30~40%以上減少した国々がある。
Facebook自身、10代のユーザーの間でエンゲージメントが落ちていることを認めている。
米国では「子供を監視したい」と親がFacebookを使い出し、数年前から「親が使うSNSなんてダサくて使ってられない」という声が10代から聞かれ始めた。今では「孫とやりとりしたい」という祖父母までがFacebookを利用しており、おじいちゃん、おばあちゃんにプレゼントやおこづかいをおねだりするツールとしては有益だろう。
筆者の日本の知り合いにも、留学している子供を監視するためにFacebookを始めたという親が何人かいるが、「親がFacebookを使い始めてから、Facebookでの行動について詰問されたり、Facebookでの友だちにケチをつけられたりする」と米国の10代からも不満が聞かれる。イギリスの16~18歳を対象にした調査でも、Facebookを使いたくて使っているわけではなく、「親に言われて渋々、使い続けている」という10代の姿が浮かび上がる。
一方、親や祖父母の間では、近くに住んでいてもなかなか会えない子供や孫と日々、交流できるFacebookでの満足度は高いようだ。「大学生も、たまにはFacebookで親と交流すればいいんじゃないの。私は、今年のクリスマスプレゼントは、Facebookで仕入れたアイデアで、すべてオンライン購入しましたよ」という60代の女性もいる。
冒頭の調査では、過去3年で55歳以上のユーザー層が80%増加し、もっとも伸びた層である。別の調査でも、65歳以上の45%がFacebookを利用しているという結果が出ており、2012年の35%より10ポイント上昇し、一番伸びている年齢層だ。ユーザーの47%が35歳以上であり、確実にFacebookのユーザー層が変わりつつある。
元々、学内ネットワークとして始まったFacebookだが、当時のユーザー層はすでに30前後だ。この層も伸びており、なんだかんだ言っても、米ユーザー総数は過去3年で22%伸びている。
中年になると、新たな技術やツールを習得するハードルは高くなる。回りの非IT系米ユーザーらを見ていて思うが(実際に、彼らをFacebookから別のSNSに移動しようとして失敗した)、新たなSNSやアプリが出るとすぐに飛びつく移り気の激しい若い世代と違い、彼らは、死ぬまでFacebookを使い続ける確率が高いのである。50代であれば、あと20~30年は使い続けるのではないか。
Facebookが買収したInstagramでは10代の利用が多く、Facebookの主ユーザー層が可処分所得の高い中高年向けにシフトすることは、米メディアが騒ぐほど悪いことではないと思うのである。アメリカでは広告の最良ターゲットは18~49歳というのが通説だが、それはベビーブーム世代が若かった70年代の話であり、ベビーブーム世代が50~60代に達した今、現実に即して変わりつつある。
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