「Amazon Prime」には配送料の無料化という特典があるが、「Kindle Fire HDX 7」の登場によって、それよりも大きな入会動機が追加された。この新型タブレットは価格が手頃であり、性能もパワフルで快適に使用できる。そのうえ、229ドルからという希望価格に十分見合った数々の洗練された新機能が搭載されている。
こういった価格に目をやると、PCの販売が低迷し、タブレットの販売が伸びてきているのも無理のない話だ。しかしタブレットは、絶頂期のPCがそうであったように、コモディティ化の道を歩み始めたばかりである。タブレット市場がAppleによって作り出されたのはほぼ間違いない。そのハイエンド市場にいまだに君臨している「iPad」と、ローエンド市場でひしめき合っている数え切れないほどの「Android」クローンが、両市場のはざまにあるミッドレンジ市場のシェアを奪い合っているのが現状だ。
このようなタブレット市場に、Amazonは新製品であるKindle Fire HDXを引っさげて切り込んできた。「Kindle Fire」ブランドを冠した第3世代のこの新型タブレットは、3つの素晴らしい特長によってタブレットのハイエンド市場に狙いを定めている。その特長とは、市場に出回っている高品質のタブレットと張り合える価格と、「iTunes」と肩を並べられるほどの優れたコンテンツエコシステム(特にAmazon Primeのメンバーにとって)、新たに搭載された「Mayday」ボタンによってAmazonの担当者がすぐさまビデオ画面上に現れるリアルタイムの無償カスタマーサービスである。
残念ながら、この製品から互換性のあるデバイスやスマートTVに対して動画を送り込む「ミラーリング」機能はまだリリースされていない。また、ソーシャルネットワークを利用した書籍情報共有サービス「Goodreads」との統合も実現されていない。そして16Gバイトというストレージ容量は、HDコンテンツを保存していくとすぐに少ないと感じるようになる。さらに、今回の製品でも「Google Play」ストアにはアクセスできないため、さまざまなAndroidアプリは利用できない。
それでもKindle Fire HDX 7はKindle Fireブランドで最も強力な進化を遂げた製品であることに変わりはない。とは言うものの、このタブレットの能力を最大限に引き出すためには、Amazon Primeのエコシステムを構成する一員になっておいた方がよいだろう。
「Kindle Fire HD」タブレットの2012年モデル(訳者注:米国では2013年モデルが発売されている)は持った時の快適さよりも頑丈さを優先したような、分厚くてがっしりした製品だった。一方、Kindle Fire HDX 7のデザインははるかに考え抜かれたものとなっている。その四隅は筆者の好きな面取り加工がなされていないものの、バランスに優れており、片手で持っても快適だ。また、軽くなっているが軽すぎるとまでは感じない。
電源ボタンとボリュームロッカーは、旧型のKindle Fire HDと比べると見つけやすく、押しやすい背面に移動されているものの、それが最善のソリューションであるかどうかは何とも言えない。横長の状態にして持っている際には問題ない(背面のエッジの感触がガイドとなる)ものの、スリープからすぐさま復帰させたい時に側面のボタンに手を伸ばすのではなく、背面にあるボタンを探り当てるためにまず手に取る必要があるのは面倒に感じられる。
Amazon Kindle Fire HDX 7 |
Amazon Kindle Fire HD 7 (2012年) |
Google Nexus 7 (2013年) |
Apple iPad mini |
|
---|---|---|---|---|
重量 (ポンド/g) |
0.66 (約303) |
0.86 (約395) |
0.66 (約299) |
0.68 (約308) |
横置き時の幅 (インチ/cm) |
7.3 (約18.5) |
7.7 (約19.5) |
7.8 (約20.0) |
7.9 (約20.0) |
横置き時の高さ (インチ/cm) |
5.0 (12.7) |
5.4 (約13.7) |
4.5 (約11.4) |
5.3 (約13.4) |
厚さ (インチ/cm) |
0.35 (約0.89) |
0.40 (約1.03) |
0.34 (約0.86) |
0.28 (約0.72) |
横置き時の 左右ベゼル幅 (インチ/cm) |
0.6 (約1.52) |
0.9 (約2.29) |
1.0 (2.54) |
0.3 (約0.76) |
左側面にはMicro-USBポートが、右側面にはヘッドフォンジャックが配置されている。Kindle Fire HDの2012年モデルにあったMicro-HDMIポートは、新たなビデオミラーリング機能の採用によって廃止されている(ただしこの機能はまだリリースされていない)。前面カメラはKindle Fire HD 7の2013年モデルでは非搭載となっているが、本製品ではちゃんとしたカメラアプリとともに復活している。ただし、背面カメラは搭載されていない。
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