Kindle Fire HDX 7は、「Krait 400」と呼ばれるCPUコアを搭載した2.2GHzのQualcommの「Snapdragon 800」というSoCを採用しているため、パフォーマンスという点で、今入手できるほぼすべてのタブレットを上回っている。これは現時点で最速のSoCなのである。また、パワフルなGPU「Adreno 330」が搭載されているほか、デュアルバンドWi-Fiやジャイロセンサ、加速度センサも装備されている。
Kindle Fire HDX 7は、1920×1200という解像度を誇る2台目の7インチタブレットである。画面はくっきりしており、メニューの文字やアイコンはシャープでものすごく読みやすい。
Kindle Fire HD 7(2012年モデル)は明るく、生き生きとした画面であったものの、黒い画面や薄暗い画面を表示させた際にバックライトが漏れ、「にじみ」が発生していた。Kindle Fire HDX 7ではにじみが低減され、起動時のような暗い画像を表示している際に、四隅に生じているだけであった。
Amazon Kindle Fire HDX 7 |
Amazon Kindle Fire HD 7 |
Google Nexus 7 (2013年) |
Apple iPad mini |
|
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最大輝度 (cd/m2) |
430 | 394 | 570 | 399 |
最大黒レベル (cd/m2) |
0.37 | 0.41 | 0.44 | 0.49 |
最大コントラスト比 | 1162:1 | 960:1 | 1295:1 | 814:1 |
AmazonはsRGBには完全準拠していると主張しているものの残念ながら、白は黄色がかっており、「Nexus 7」のような純粋な色とはなっていない。また、画面はNexus 7のものほど明るくはないが、暗いところで読書する場合には目に優しく感じられるため、Kindle Fire HDXの方に軍配が上がる。
ナビゲーション時のパフォーマンスは、2012年モデルのKindle Fire HD 7よりも、また「Kindle Fire HD 8.9」と比べてもずっと軽快だ。すべてはきびきびと動作し、いらいらすることがないため、全体的にずっと快適なエクスペリエンスを楽しめる。
この処理速度の向上は、Fire OSの最適化によるところもあるものの、新たに搭載されたQualcommのSnapdragon 800というSoCの力も大きい。これによって必要なパワーが供給され、メニューも一瞬のうちに表示されるわけである。
機種 | CPU | GPU | RAM | テスト対象OS |
---|---|---|---|---|
Amazon Kindle Fire HDX 7 |
Snapdragon 800 (2.2GHz、クアッドコア) |
Adreno 330 | 2GB | Amazon Mojito (Android) |
Google Nexus 7 (2013年) |
Snapdragon S4 Pro (1.5GHz、クアッドコア) |
Adreno 320 (シングルコア) |
2GB | Android 4.3 |
Apple iPad mini |
Apple A5 (1GHz、デュアルコア) |
PowerVR SGX543MP2 (デュアルコア) |
512MB | iOS 7.0.1 |
ゲーム実行時のポリゴン描画性能もタブレットとしては素晴らしく、NVIDIAの「SHIELD」と同等の性能を実現しており、新しいNexus 7よりも明らかに高速であった。
「Asphalt 8」は、現在市場に出回っている同じ解像度のAndroidタブレットと同程度にスムーズに動作した。NVIDIAのSHIELDほどにはスムーズでなかったものの、SHIELDの解像度は少し低めの1280×720であるため、そのことが有利に働いている。
「Riptide GP2」はすべてのグラフィックス機能を最高に設定して実行してもなめらかなフレームレートで実行でき、画面上で激しいシーンが展開している場合でも突っかかる感じはなかった。なお、「N.O.V.A. 3」といったゲームはテストできなかった。このゲームのKindle Fire版は、Kindle Fire HDXのインターフェースから利用できなかったためである。
「3DMark」はまだKindle Fire版が利用可能になっていないため、筆者は代替として「GFXBench」を使用した。これは1080pとネイティブ解像度の双方でタブレットをテストする類似のベンチマークアプリである。Kindle Fire HDXは、NVIDIAの「Tegra 4」搭載をうたっているSHIELDや、2.2GHzのSnapdragon 800を搭載しているASUSの「PadFone」と同程度の性能を示した。
Kindle Fire HDXのスピーカーから出る音は、Kindle Fire HDのものほど大きな音量ではない。しかし、音質ははるかにクリーンであり、比較すると前の製品の音質はゆがんで金属質に感じられる。
前面カメラは、タブレットのカメラとしては比較的クリアで色彩豊かな写真が撮影できる。ただ、これは必ずしも特別な瞬間を残すために用いたいと思うようなカメラではない(粒子も目に見える)ものの、タブレットの前面カメラとしては悪い品質ではない。目的がビデオ通話だけなのであれば、何の問題も感じないはずだ。
バッテリの持続時間は、筆者の経験ではそこそこ持つ感じだ。このレビューを準備している最中に、Kindle Fire HDX 7の輝度をアプリのダウンロード中やウェブサーフィン中、読書中、ゲーム中に色々と変更してみた。しかし、バッテリ持続時間が著しく短くなったとは感じなかった。
あなたがAmazon Primeのサービスをよく利用しているのであれば、Kindle Fire HDX 7を購入しないという選択はおそらくないだろう。米国ではビデオのストリーミングやダウンロード、書籍の貸し出しといったメンバー向けサービスとの緊密な連携によって、Kindle Fire HDX 7はAmazon Primeメンバー必携のデバイスであると感じられるはずだ。
あなたがAmazon Primeのメンバーではなく、入会する気もないのであれば、Nexus 7やiPad miniといった7インチタブレットの方が魅力的に感じられるだろう。
Nexus 7の最も安価なモデルは同じ価格となっており、画面は驚くほど明るく、背面カメラを備えており、Android OSの頻繁なアップデートが約束されたよりオープンなプラットフォームとなっている。一方、iPad miniは100ドルほど高価であり、画面は大きいものの解像度は低く、ゲームのパフォーマンスもさほど高くはない。しかし、どのタブレット向けOSよりも優れたアプリのエコシステムが形成されている。ただ、iPad miniはもうすぐ新型が発表されそうなため、数週間待ち、Appleがどのような製品を市場に投入するのかを見極めるのが得策だろう。
またAmazonは数週間後に、8メガピクセルの背面カメラを搭載し、解像度が2560×1600である8.9インチのKindle Fire HDXを379ドルからという価格で発売する予定だ。あなたがKindle Fire HDX 7に魅了されているものの、より大きな画面を必要としており、もう少し投資しても構わないと考えているのであれば、しばらく待つべきだろう。
あるいは、Kindle Fireの新しいビデオミラーリング機能に期待しているのであれば、実際に実装されるまで待った方がよいだろう。さらに、Maydayも素晴らしく、革新的なカスタマーサービス機能であるものの、実際に使用されるようになると15秒という応答時間目標を守れなくなるという可能性もある。
要するに、あなたがAmazon Primeのメンバーであり、小型のタブレットを探しているのであれば、無条件にKindle Fire HDX 7の一択となるだろう。また、あなたがAmazon Primeのメンバーではなく、クローズなエコシステムが気にならないのであれば(クローズであるとはいえ広大でもある)、Kindle Fire HDX 7はAmazon Primeに入会する素晴らしい理由になるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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