Appleが現在のiMacのデザインを発表し、人々の度肝を抜いたのは2012年10月であった。考え抜かれたアングルから撮影された芸術的な写真によって、同製品は完全にフラットであるかのように見えたものの、間近で見ると背面のパネルが中央部分で隆起していることが分かる。このため、最初に写真で見た時に抱いた印象通り、紙のような薄さになっているわけではないものの、27インチディスプレイを搭載した高性能なオールインワン型の製品とは思えない、すっきりとした仕上がりになっている(一番のライバルであると考えられるDellのXPS 27は分厚い石板のようなデザインとなっている)。
中央部がふくらんだ形の背面パネルと、1枚の金属板を曲げたようなスタンドによって、Appleの製品のなかで最も有機的な雰囲気を醸し出しており、オールインワン型の形態によく合っている。オールインワン型というジャンルは、タワー型の筐体やノートPCといった形態では不向きとなる、家庭用コンピュータや、キッチンに置くPC、クリエイティブ/芸術的な作業に最適なフォームファクタであると言える。
このデザインは、発表されてから既に1年が経過しているため、当時ほど人目を引かなくなっているものの、美的な感覚を後回しにするのではなく、優先的に考慮することでどのような製品が生み出されるのかを示す素晴らしい例となっている。
2013年モデルでは外観上の変更は認められない。昨年のモデルと同じ低反射ディスプレイが搭載されており、メモリスロットは目に付かないところにあるうえ、ポート群は背面パネルに集約されている。他のほとんどのオールインワン型PCと同様に、Appleのコンピュータはほぼすべて(つまり「Mac Pro」を除いて)、RAM以外のコンポーネントには容易にアクセスできないようになっている。要するにこの製品は、保証を無効にするような大作業を行わない限り、密封されたシステムになっているわけだ。
ケーブルを1本化するというAppleの戦略は、この製品にも現れている。たいていの場合、白い電源ケーブルを接続するだけで設置は完了する。Wi-Fi機能が組み込まれているためにEthernetケーブルを接続する必要がなく、付属のキーボードとマウスはワイヤレス接続となっており、すぐに使用できる状態となっている。
標準装備されている「Apple Wireless Keyboard」と「Magic Mouse」は、ハードウェアがここ数世代変化している間、何も変わっていない。キーボードの出来はいまだ最高の部類に入る。コンパクトであるものの、キートップは大きく、ストロークは深く、レイアウトは論理的なものとなっている。またマウスも、広く普及しているモデルであり、ファンも数多くいるようだが、筆者の好みではない。おそらく物理的な左右ボタンやスクロールホイールの操作に体が慣れすぎているためだろう。とは言うものの筆者は最近、「OS X」マシンでは「Magic Trackpad」を、そして「Windows」マシンではLogitechの「T650」というタッチパッドを多用するようになってきている。ゲーム以外では、実際にマウスに手を伸ばすことがほとんどなくなっているわけだ。
筆者は最初のうち、入力デバイスはマウスしか選べないものだと思っていたが、うれしいことに料金を追加せずとも、購入時にマウスの代わりにMagic Trackpadを選択できるようにもなっていると知った。Magic MouseもMagic Trackpadも個別に購入すると69ドルという同じ価格になっているため、これは筋が通っているとも言える。
どのようなオールインワン型PCでも、そのディスプレイによって評価は大きく変わってくる。今回レビューした製品に搭載されているディスプレイは、昨年のiMacに搭載されていたものと同じであり、ネイティブ解像度が2560×1440ピクセルでバックライトがLEDとなっている。この解像度はHDディスプレイよりも優れており、今や27インチのシステムでは一般的である。なお、Windowsを搭載したDellのXPS 27も同じ解像度となっている。また、15インチのRetinaディスプレイを搭載したMacBook Proといった一部のコンピュータでは2880×1800ピクセルとなっており、Lenovoの13インチ「IdeaPad Yoga 2 Pro」のように3200×1800ピクセルというものもある。
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