今は外向型コンピュータの時代というべきだろう。
古き良きパーソナルコンピューティングの時代には、拡張性といえば、コンピュータケース内部の空きを使って、グラフィックカードやハードドライブを追加することを意味していた。しかし現在では、Intelの高速データポート「Thunderbolt」に対するAppleの思い入れから、拡張性とはデバイスをケースの外に接続するという意味になっている。
外部機器の接続は長い間、ノートブックに新しいハードウェアを導入するためのほとんど唯一の方法だった。しかしAppleは、米国時間6月10日に行われたWWDC 2013で、ノートブックと同じ密閉した箱という考え方が、Appleのハイエンドで最も拡張性の高いマシンである「Mac Pro」にも取り入れられつつあることを示した。
現行のMac Proは大型の長方形の箱だ。これは確かに、ほとんどの「Windows」搭載タワーPCやワークステーションよりも洗練された箱だが、箱であることには変わらない。しかし、新しいMac Proが2013年後半に登場すれば、ユーザーは、現行モデルの8分の1の体積しかない、コンパクトな円筒形のマシンを手にすることになる。
ハードウェアエンジニアリングの観点から見れば、新しいMac Proはアーキテクチャの大きな転換である。
空のPCI Expressスロットやハードドライブベイの代わりに、新しいMac Proには、3つの独立したコントローラを備えた、20Gbpsの「Thunderbolt 2」ポートが6基搭載されている。それぞれのポートには、ストレージアレイや4Kモニタ、ビデオキャプチャデバイスといった機器を最大6台、デイジーチェーン接続でつなぐことができる。
さらに、4基のUSB 3ポートもある。特に2014年に登場予定の2倍速USB 3ポートを備えないことを考えれば、これらはあまり魅力的ではないかもしれないが、それでもフラットベッドスキャナやバックアップデバイスといった、メインストリームの機器には役に立つだろう。
新しいMac Proは、ビデオ編集、写真合成、ソフトウェア開発、コンピュータを使った設計など、高速プロセッサと多くのメモリに追加費用を払ってもそれだけの価値がある、ハイエンドなコンピュータ作業を対象とするマシンだ。それは、クリエイティブ業界の専門家を正面から狙ったものになっている。かつてはAppleのビジネスの中心だったそうした専門家も、Appleが採算性の非常に高い多数の「iPhone」や「iPad」ユーザーに注意を移した現在は、我慢を強いられている。
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