売上比率にみるスマホ広告の最新動向--一般広告主が増加

澤宏明(D2C)2013年09月03日 15時26分

 この連載では、企業でのアプリのプロモーション活用から、スマートフォン広告で重要な位置を占めるテクニカルな運用型広告、メディアやアプリ・マーケットなどの市場環境を含め、広告・マーケティング分野における“スマートフォンの今”をお伝えする。前回まではO2Oの基礎知識や戦略を成功させるためのコツなどを紹介した。今回からはスマートフォン広告市場の現状について解説しよう。

 まず、スマートフォン市場の出稿状況について、広告主を4つのタイプに分類してみた。図表では、それぞれのタイプの広告主が2013年度上期(4~9月)の売上げに占めた割合を示している。

(図表)広告主のカテゴリー別売上比率 (図表)広告主のカテゴリー別売上比率
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 一般広告主(ナショナルクライアント)が40%と一番多い割合である。一般広告主は、フィーチャーフォンでは10~20%の比率で推移し、比率を高めることが難しい状況だった。これがスマートフォンでは、クリエイティブの向上や媒体特性を活用したキャンペーン企画などで比率が拡大している。

 主な業種は、(1)情報・通信(キャリアおよび関連メーカーなど)、(2)官公庁・団体、(3)飲料メーカー、(4)ブランド(ファッション・アクセサリ)である。上記で特筆すべきなのが、(2)の官公庁・団体だ。ネット選挙運動の解禁に伴い、7月に行われた参議院選に向けて、各政党、とりわけ自民党の出稿が大幅に伸びた。これは時代を表す指標ということがいえるだろう。

 飲料メーカーはフィーチャーフォン時代から引き続き、キャンペーン関連の利用が多い。商品を購入してそこにあるシリアルナンバーで申し込むと、デジタルのインセンティブをプレゼントするなどの仕組みである。またブランドはクリエイティブの表現がリッチになったことで、スマートフォンになってさらに活発な出稿意欲を見せている。

 次がダイレクトレスポンス系と呼ばれるカテゴリで、売上比率は30%を占める。主な業種は、金融、EC、コスメ、教育、転職。入会や資料請求、カード発行、商品購入など、ダイレクトな反応を要求する広告主であるため、どのようなユーザーがどれくらい登録したか、購入してくれたかといった効果測定が強く求められるが、この点に関しては後述する。

 CP(コンテンツプロバイダ)は25%を占める。フィーチャーフォン時代にコミックや占いといったコンテンツを主に提供していた企業である。スマートフォンになっても、こうした広告主の出稿意欲は引き続き大きい。

 最後がAPP(アプリ)ベンダで、まだ売上構成比は5%程度だが、急速に伸びてきている。目的は、スマートフォンアプリのプロモーションに尽きる。Google PlayやAPP Storeでのランキングで、上位に導くノウハウが要求されるなど、CPとは違う知見が必要とされる。

 たとえば、ダウンロード数を短期間で増加させるべく、インセンティブを提供する代わりにアプリをダウンロードしてもらうリワード広告や、携帯電話ショップで直接アプリをインストールしてもらうリアルアフィリエイトなど、ブーストさせる施策を実施する。広告でダウンロードを一気に増やしてランキングを上げ、それを見たターゲットユーザーにもダウンロードしてもらう手法である。その後、自然流入を促す手法など、いずれにしてもきめ細かな対応が求められる領域だ。

 次回からは、この広告主動向に対応する広告種別、メディアレップの役割について説明したい。

(執筆:D2C レップ事業本部 メディア企画部 部長 澤宏明)

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