サムスン、HTC、Google、Nokia、Amazonなど、多くの企業が新しいスマートフォンやタブレット、さらにはウェアラブルデバイスまでをも年に数回発表するなか、Appleはそうした状況を静観している。同社が最後に「iPhone」を発表したのは2012年9月、最後に「iPad」を発表したのは10月のことだ。
Appleの既存フラッグシップモバイルデバイスと「iOS」のアップデートバージョンは、2013年秋に登場する見通しだが、最新のうわさによると、大画面のiPhoneやスマートウォッチ、「Retinaディスプレイ」搭載iPadが本当に登場するとしても、2014年になるという。もちろん、これらは単なるうわさであり、秘密主義で有名なAppleが2013年中に「One more thing(最後にもう1つ)」という言葉の後にサプライズを発表する可能性もある。
モバイル接続に対する需要が世界的に高まるなかで(IHSの調べでは、スマートフォン出荷台数は2017年までにほぼ倍増して15億台に達する見通し)、市場全体が爆発的に拡大しているが、Appleの世界市場でのシェアは縮小している。Appleの2013年第1四半期におけるスマートフォン世界市場シェアは17%で、前年同期の23%から縮小した。他方で、Appleは莫大な利益を生み出す企業であり、同社の売上高は今後も大幅な増加を続けるだろう。第3四半期(6月30日締め)のiPhone販売台数は3120万台だった。
市場で何が起きていようと、Appleは競合他社への対処を急いでいるようには見えない。実際のところ、Appleはこれまでも、さほど保守的になることもなく、機能戦争で取り残されまいと慌てて他社を追随することもなかった。
Appleはまるで、モバイル市場の今後の展開について、ほかの誰も知らないことを知っているかのようだ。同社は液体金属のような珍しい素材を研究したり、ハードウェアとソフトウェアの完全な融合を追求して独自のチップを開発したりしている。Appleは、サムスンの「GALAXY」に対抗して4インチ以上の大画面を搭載するスマートフォンを提供することよりも、フォントやベゼルの厚さに関心を抱いている。
次期iPhoneは「iPhone 5S」という名称で秋に登場するとのうわさだが、これまでのパターンから外れるとは考えにくい。iPhone 5Sも過去の「S」アップグレードと同様に、プロセッサの高速化、LTE接続の改善、12メガピクセルカメラへのアップグレード(「iPhone 5」のカメラは8メガピクセル)、非接触型決済を可能にする近距離無線通信(NFC)、指紋スキャナを搭載するとうわさされている。こうしたうわさのスペックは、業界の最先端テクノロジではない。Appleは最後にNFCを実装する企業の1つになるだろう。Nokiaは先ごろ、41メガピクセルカメラを搭載するスマートフォン「Lumia 1020」を発表したばかりだ。
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