Appleは常に、地球上で最も精巧に設計され、最も美学的に優れたデバイスと自らが考えるものを生み出すことに注力してきた。奇抜な発想だが、実際にうまく行っているように思える。
「製品に注力し、最高の製品を作らなければならない。それを正しく行い、人々の生活を豊かにする偉大な製品を作れば、ほかのことは自然に付いてくる」。Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏はこのように述べる。
それは、Steve Jobs氏が切り開いた「作れば人はやって来る」というアプローチだ。そのアプローチには人々が期待するものが少し追加されている。需要を生み出す象徴的なマーケティングと、ターゲット顧客の近くに開設されたAppleらしさの大聖堂である400店以上のストアの魅力だ。
そして人はやって来る。Apple Storeには1日当たり100万人以上の顧客が訪れ、オンラインApp Storeのアカウントは6億件近くにのぼる。Appleは、より動きの速い競合他社に対する予防策として、顧客の忠誠を当てにしている。
Yankee Groupによる2013年4月の調査では、新規顧客が購入を検討しているモバイルOSの割合はiOSと「Android」でほとんど同じだが、それぞれのエコシステムに対する忠誠度は違った。調査対象のAppleデバイス所有者のうち、次に携帯電話を購入するときに別のプラットフォームに乗り換えると答えた人はわずか9%だったのに対し、Androidプラットフォームから離れる予定だと答えたAndroid所有者は24%にのぼった。また、Apple製品の購入者は、最も売れているインターネットストリーミングデバイスである99ドルの「Apple TV」など、同社ラインアップのほかの製品を買う確率も高い。
しかし、偉大な製品や大聖堂を構築して信奉者を惹き付けることだけが、Appleの成功の秘訣ではない。Appleは、主な競合であるサムスンのように多様な形状とサイズを大量に投入することを避ける道を選んでいる。その代わりに、Appleは少数のサイズの旧製品と新製品を同時に販売して価格と機能の隙間を埋め、自社のラインアップから最大限の利益を絞り出している。その後、最初に2年契約を締結した大量のユーザーが割引価格でアップグレードできる資格を得るころに、絶妙のタイイングで新バージョンを発表し、長い間Appleの新製品に飢えていたユーザーを満足させる。
iPadが2010年に登場して以来、AppleはiPadで市場を支配しており、同タブレットのバージョンアップを繰り返してきたが、7インチの「mini」カテゴリへの参入は遅かった。活気のある新しい市場では予想できることだが、GoogleやAmazon、サムスンといった有力な競合各社は、既存のリーダーであるAppleにじわじわ迫ってきている。IDCは、Appleの2013年の世界タブレット出荷台数シェアが、2012年の51%から下落し46%になると予測している。
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