Appleとサムスンが自社の株価上昇を望むなら、スマートフォンの価格をもっと下げる必要があるだろう。
両社はワイヤレス業界で支配的な地位を確立しているが、それは、うわさをする価値があり、多機能で、洗練されたフラッグシップスマートフォンによるものだ。「iPhone 5」と「GALAXY S III」(間もなく後継機種の「GALAXY S4」が発売される予定)が販売台数ランキングの上位に君臨しているために、両社はスマートフォン市場の半分以上と同市場の利益のほぼすべてを支配している。
しかし、両社の最近の決算を見ると、ハイエンドスマートフォン市場を支配するだけでは、さらなる成長を求めて高まり続ける声に応えられなくなりつつあることが分かる。Appleとサムスンが今後も快進撃を続けるためには、低価格スマートフォンの市場でさらに攻勢をかける必要があるだろう。特に、消費者が初めて携帯電話を購入するような新興市場だ。
問題は、ローエンド市場には実績のある競合企業がひしめいていることだ。例えば、携帯電話を安価に製造して販売する方法を学んだ中国ベンダーなどである。
IDCのアナリストであるRamon Llamas氏は、「ローエンドスマートフォンは本当に競争の激しい市場だ。ローエンド市場に参入するつもりなら、用心して進めた方がいい」と述べた。
例えばIDCによると、非常に小さかった中国Huawei(ファーウェイ)の市場シェアが、2013暦年第1四半期に40%拡大したという。同社がシェアを拡大する一方で、Appleの同四半期における市場シェアは実は縮小している。また、Appleは既に、現四半期の売上高がウォール街の予測を下回るだろうと警告している。
ローエンド市場の影響がAppleとサムスンに既に現れていることを示す兆候は、両社が先週発表した決算にはっきりと見てとれる。Appleの場合、第1四半期における「iPhone」の平均販売価格は前期比で28ドル下落した。iPhone 5や「iPhone 4S」を拒んで安価な「iPhone 4」を選ぶ人が増えたためだ。Appleは低価格のiPhoneを発売する可能性について沈黙を守っているが、廉価版iPhoneは既に開発中とのうわさが広く報じられている。
一方、サムスンは予測を上回る第1四半期決算を発表し、市場シェアを拡大した。そして、同社の成長率はAppleのそれを上回っている。しかし、5期連続で最高利益を更新してきた同社の記録は同期で途絶えた。また、サムスンも「ミドルレンジからローエンドのスマートフォン市場が拡大するために、モバイル事業でより激しい競争にさらされる可能性がある」と警告した。
iPhone 5とGALAXY S4を含む世界のモバイルデバイスの大半にチップを供給するQualcommは先週、2012年第4四半期におけるデバイスの平均販売価格は約217ドルで、前期の227ドルから減少したと述べている(同社が見積もった価格幅の中間点を基に算出)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」