アップルとサムスンが迫られる低価格スマホの開発--新たな成長に向けた2強の課題 - (page 3)

Shara Tibken (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年05月02日 07時30分

 たとえ値下げされたとしても、iPhoneの価格は中国のベンダーが提供する大半の携帯端末より高い。そして、Appleがローエンド市場専用の携帯電話を開発したとしても、品質面で大幅な妥協をしない限り、99ドルという低価格で販売されることはないだろう。つまり、「低価格」のiPhoneが登場しても、多くの人にとって手が出ないデバイスになる可能性もある。

 「全般的に見て、Appleは価格という点においては、ミッドレンジにさえ触れていない」。ABI ResearchのアナリストであるMichael Morgan氏はこのように述べる。

 一方、低価格デバイスということなら、サムスンはいくつかの点でAppleより有利だ。サムスンは部品を自社でまかなっている。つまり、スマートフォンの部品表をAppleよりも自由に操ることができるということだ。さらに、サムスンの戦略にはさまざまな仕様と価格で携帯端末を展開することが含まれているため、Appleほど単一のデバイスに依存していない。

 その上、サムスンは既に新興市場で地盤を固めている。Strategy Analyticsによると、中国における2012年のサムスン製デバイスの販売は3倍近く増加し、同国で最大のスマートフォンベンダーになったという。サムスンにとって今後重要なのは、中国の新興の競合企業からその地位を守ることだ。

 Thomson Reutersの記録によると、サムスンのある幹部は2013年4月26日、同社の決算発表の電話会議で、「市場の需要とわれわれの環境の変化を注視し続けるつもりだ。あらゆる環境や顧客ニーズの変化に対応する準備ができている。これからも、全力でユーザー体験を拡大し、最高の価値を提供していく」と述べたという。

 Appleとサムスンの最大の違いは、さらなる低価格を実現するためにどれだけの犠牲を払う意思があるか、ということかもしれない。Appleは以前より、最も重要なのは素晴らしい製品を作ることだと述べてきた。同社には価格を下げるために大幅な妥協をする意思はない。しかし、サムスンはそれとは異なるアプローチを採用してきた。同社は野心的なハイエンドデバイスも作るが、その一方で、人々に財布の紐を緩めてもらうために、より低価格のデバイスも作っている。このことは、一部のスマートフォンの品質がそれほど高くないということを意味するかもしれないが、より多くの人がサムスンのデバイスを手にしているということでもある。

 サムスンにとって今後重要になるのは、発展途上国で現在の地位を守ることだ。あるいは、少なくとも中国ベンダーに多くのシェアを奪われるのを防ぐことである。Appleについては、サムスンの戦略を見習うときが来たと言えるかもしれない。迅速に行動を起こさなければ、Appleは新興市場で取り残されることにもなりかねない。

GALAXY S4は一部の国で現在提供されている。
GALAXY S4は一部の国で現在提供されている。
提供:Josh Miller/CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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