ビデオ広告の時代は日本にやってくるか--オムニバス山本氏が市場への期待を語る

 ブライトコーブは4月24日、日本の動画広告市場に関するセミナーを開催した。「立ち上がり始めた日本の動画広告市場を理解する」と題した同セミナーでは、広告代理店やメディア関係者などが集まり、米国の動画広告市場の現状や日本の動画広告市場の今後について語られた。

 最初のセッションでは、「動画広告を取り巻く環境-ディスプレイ広告の変遷と視聴環境の変化から-」と題し、オムニバス代表取締役CEOの山本章悟氏が動画広告市場の現状について語った。オムニバスは、アドテクノロジーを活動したデジタルアドバタイジング企業であり、2月にはRTB(リアルタイムビッティング)を通じてリアルタイムでオンラインビデオ広告枠の購入ができる、オンラインビデオ特化型のDSP(デマンドサイドプラットフォーム)「PlayTime」を提供する米TubeMogulと業務提携を発表している。

広告のリッチ化が課題

 山本氏は、まず初めに動画広告について「ユーザーの興味を高めると同時に、プロダクトのメッセージを強く表現できるツール」と語る。通常の静止画によるバナー広告では表現できない豊かな表現が可能だという。米国においては、2011年には企業の広告予算枠の16%だったビデオ広告の割合が2016年には32%となっている一方、バナー広告は61%から45%へと減少するというデータを示し、ビデオ広告の成長を示唆した。

 米国のオンラインビデオ広告は、2016年には9000億円規模の市場に上るとしており、2012年から2016年にかけて190%の成長率が見込めるという。「これまでの広告は、ディスプレイを軸にどこに出すか、ターゲットに応じて誰に出すかを考えてきた。次は、場所とターゲットのみならず、広告に何を出すかという広告枠のリッチ化が課題となってくる」(山本氏)とし、充実したメッセージを伝えることができるビデオ広告環境が整ってきたと語った。

オンラインビデオの環境が成熟してきた

 米国ユーザーのオンラインビデオ視聴の状況も、米国全体として1億6240万人がオンラインビデオサイトに滞在し、1ユーザーあたり月間159本ものビデオ動画を再生するなど、ユーザーリーチの可能性を示唆した。

 日本におけるビデオ視聴を見ると、5900万人以上ものユーザーがオンラインビデオサイトに滞在、1ユーザーあたり月間283本のビデオ動画を再生し1ビデオあたり平均して10分間の動画を視聴するなど、ユーザーあたりの視聴滞在率は米国以上に高い。しかし、視聴滞在の長いサイトは動画共有系サービスがほとんどであり、著作権侵害コンテンツが流出しているものも多い。ユーザーが快適に著作権侵害なく、コンテンツを閲覧する事ができる環境の整備も必要になってくる。

 「米国市場は日本市場の数年先を歩いている。ビデオ広告のエコシステムやRTB環境の発達、デバイスの進化などによるユーザーの動画コンテンツ利用の多様化など、これから市場が伸びる可能性は大きい。自社メディアのリッチ化も含めて、いかにビジネスモデルを構築していくか。その中において、デジタルビデオ市場のチャンスは今後さらに増してくる」(山本氏)

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