「ソー活」という言葉も生まれているように、日本でも大学生の半数近くが就職活動にソーシャルメディアを利用しているという結果が出ている。
時代はもはや、雇用が安定していた頃にあったような求人広告を見て履歴書を提出し、相手企業からの返事を待つ──といった従来の受身のやり方ではなく、就職、転職が差し迫って必要になる前に日ごろからネットワーキングを行い、積極的に自己PRする攻めのやり方を必要としていると言える。
そのためのツールとしてのLinkedInについては、昨年紹介した。
米国では、従来の方法ではなかなか就職先が見つからなかったため、ソーシャルメディアを活用し、ユニークなやり方で就職した人たちがいる。ある女性は、入社を希望するプレゼンソフトの会社のCEOに、同社のソフトを使って作ったスライドショーを直接Twitterで送付したところ、その内容と人事を通さずにTwitterでアプローチしてきた独創性を買われ、見事に採用された。
また、ある20代の男性は、Googleに入社したい一心で、「Google Please hire me」というサイトを立ち上げ、なぜ自分を雇うべきかを説いた動画とともにオンライン履歴書を作成するという行動に出た。そのサイトをFacebookの友だち200人、Twitterのフォロワー100人に宣伝したところ、24時間のうちにニュースとなり、IT系情報サイトのTechCrunchが記事にした後、CNNなどの既存メディアにも取り上げられることになった。その結果、Googleを含む数社の面接を受け、Googleには採用されなかったものの、シリコンバレーのスタートアップのIT企業に就職した。
米国では、業種によっては「ソーシャルメディア時代の今、履歴書にカバーレターなど添付する必要なし。代わりにソーシャルメディアのリンクを送るように」という採用担当者もいるくらいだ。
また、「履歴書は要らない」という企業も出てきている。スタートアップのIT企業には、「ブログ、Twitter、LinkedIn、Facebook、about.me、Spotifyなどのリンクを送るように」というところがある。ツイッターやソーシャルゲームのジンガ社に投資したベンチャーキャピタルでも、履歴書ではなく、そうしたソーシャルメディアのリンク、かつ希望職への興味を示した動画の提出を課している。「履歴書では、応募者が、どのような人物なのかがよくわからない。応募者が、どのような考え方をし、実際に一緒に働くとどういう感じなのかを知りたいから」だという。
「履歴書では、当社に適した人物かどうかがよくわからない」という企業には、オンラインで応募を受け付ける前に、まずオンラインのスキルテストや適性検査を課す企業もある。「理想の職は、どのようなものですか?」「これまでで一番気に入った仕事は?」といった質問により、自社の社風に対する適性を測ろうというものだ。
また、応募者の思考回路を見るためにオンラインでクイズを課す企業や、ゲームや自社の製品への熱意を示す動画の作成を求めるゲーム開発会社もある。その結果、大卒でなかったり、職歴が少なかったりするなど、通常の審査過程では通らなかったような応募者が採用されたという。
こうして入社選考過程が多様化する中、ソーシャルメディアやマルチメディアのスキルが欠かせないものとなりつつある。
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