2012年、IT業界ではLINEに代表されるメッセージングサービスの急成長が大きな話題を呼んだ。日本で中心となっているLINEは、2011年6月にサービスイン。翌2012年1月に全世界で1500万ダウンロードを超え、2013年1月18日には全世界で1億ユーザー(日本は4150万ユーザー)を突破した。
一方、昨年10月にヤフーが50%出資し、大きな話題となったカカオジャパンが提供する「カカオトーク」も各メディアでの露出を強化し、急速にユーザー数を伸ばしている。同社代表取締役の朴且鎮氏へのインタビューを通じて、カカオトークが目指すサービスとしての方向性や、LINEやcommといった競合サービスとの違いを考察してみたい。
カカオトークは、利用しているユーザー同士であれば国内・海外、通信キャリアを問わず、無料で音声通話・チャットが楽しめるスマートフォンアプリだ。無料通話や無料メッセージ以外にも、「5人グループ通話」や「トークPlus」「着せ替えテーマ」「動くスタンプ」などの機能、サービスが無料で提供されている。
カカオトークの公開は2010年3月。日本ではLINEの方がメジャーだが、実はカカオトークの方が1年以上前に公開されており、アプリとしての歴史は長い。2011年7月に日本法人である「カカオジャパン」を設立し、日本における本格展開を始めた。プレスリリースによると、当時の利用者数は1900万人だったという。それから1年以上が経過した2012年12月時点における全世界での利用者数は7000万人以上。日本国内におけるダウンロード数は750万件ということだ。
リリース自体はカカオトークの方が1年以上早かったものの、日本での展開はLINEの後塵を拝している状態だ。この分野では、LINE、カカオトークのほかにディー・エヌ・エー(DeNA)が提供するcommなどがある。日本での伸びが著しいこの3サービスについてまとめてみた。
上記表は各社プレスリリースや直接のヒアリングから作成したが、メッセージ流通量や登録者数などの用語定義、発表日や集計期間は各社異なる可能性があるため、あくまでも参考資料としてご覧いただきたい。
ヤフーと連携しているカカオトークは上記3アプリの中では最古参。グローバルでの利用はLINEと拮抗しているものの、日本市場を支配しているのは1年以上後にリリースされたLINEだ。日本国内におけるLINEのシェアは日本のスマートフォン普及台数とほぼ一致する支配的なものだ。
DeNAが提供する最後発のcommはリリース後2カ月足らずで国内におけるカカオトークの利用者数と同程度のダウンロード数を目指すという大きな目標を掲げている。10億円という巨額のプロモーション費用が投じられ、マスメディアでの露出はカカオトークの4倍くらいになるのではないかと言われている(業界関係者談)。
表中には記載してないが、LINE、カカオトークのいずれも欧米よりはアジアへの参入に積極的だ。LINEは台湾で、カカオトークは韓国でそれぞれ支配的なシェアを達成している。機能やマネタイズ面ではLINEとカカオトークは比較的似ているように見える。ゲーム、公式アカウント、スタンプが中心だが、普及を進める施策との兼ね合いか、その強弱には違いがある。
commはシンプルに徹し、現時点では直接的なマネタイズを全く考えていないようだ。いわゆる最大化戦略を考えているのだろうと推測される。業界では国内よりもむしろ海外戦略を優先して進めていくという話もある。
カカオトークは全世界でのデイリーアクティブユーザーが2900万人と活発に利用されている。最も普及している韓国での1日当たりの利用時間は50分。上位20%のユーザーは毎日3時間もカカオトークをやっており、平均起動回数30回以上とアクティブだという。
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