ヤフーとの資本、業務提携により、日本での事業展開を加速させているカカオジャパン。12月11日に開催された無料通話・メールアプリ「カカオトーク」の事業戦略発表会では、新機能「トークPlus」を日本で先行公開することや、TVCM・交通広告なとで積極的にプロモーションしていくことも明らかにしている。
NHN Japanの「LINE」や、ディー・エヌ・エーの「comm」など強力なライバルも多い無料通話・メールアプリの領域で、カカオトークはどのように存在感を示していくのか。カカオジャパン代表取締役の朴且鎮(パク・チャジン)氏と、同社の非常勤 取締役でヤフー CMOの村上臣氏に戦略を聞いた。
村上氏:ヤフーサイドから言うと、カカオトークは韓国で圧倒的なナンバーワンの地位を確立していて、大規模なトラフィックをさばくテクノロジーもあり、支持されるUI、UXがすでに高いレベルで実現されていたところが大きかったと思います。あとは根本的なコミュニケーションサービスに対する思いの部分がすごく近かったということです。無料通話やチャットなどの機能よりも、“濃いコミュニケーション”を大切にして、そこからいろいろなものを広げていくという思想が、ヤフーとカカオで非常に似ていたんですね。ですので、これはぜひ一緒にやったほうがいいと思いました。
朴氏:カカオでは、スマートフォンの世界で“メッセンジャーファースト”という考えを持っています。メッセンジャーは一時的なネットサービスとは違って、日常のコミュニケーションツールになりうるものなので、そこのクオリティがしっかりしていれば、どんな新たなサービスが出てきても怖くないと思っています。その点について村上さんとお話した際に「この人はサービスをよく理解しているな」と感じました。お互いの話がとてもスムーズに進みましたし、村上さんの一緒にやっていこうという本気度も伝わってきました、そこが決め手ですね。
朴氏:カカオジャパンを合弁会社にしたことで、KAKAO Corporationとヤフーからそれぞれ役員が2人ずつ来ている状況なのですが、大きく変わったこととしては、会社の状況も含めて、いま進めていることや、今後やろうとしていることをお互いで日々共有できていることですね。特別な会議を設けて議論しようというノリではありません。
村上氏:急ぎの要件はカカオトークで話を済ませることもあります。契約の際、ディールの交渉をカカオトークでしましたからね(笑)。何か課題があったりすると絵文字をつけてどうしましょうと送ったり。さすがに絵文字混じりで契約文のやりとりしたのは初めてでしたね。
村上氏:やはり「トークPlus」(トークルーム内で外部アプリやサービスを利用できる機能。チャットや通話をしながら地図情報や写真などを共有できる)と、5人での同時通話なのかなと思います。トークPlusでは、複数人でしゃべっている途中にその流れを分断することなく乗り換え案内を調べたり、途中で抜けた人がトークルームに戻ってきた際に、すぐに目的地が分かるように事前に地図を張っておいてあげるといったことが可能になります。そういった濃いコミュニケーションが円滑にできる世界をトークPlusで実現したいですね。
村上氏:同時通話についても、よくメールやチャットなどで話が盛り上がってくると「面倒くさいからもう電話しよう」ということがあると思うのですが、そのテンションを保ったままその場でボタンを押すだけでみんなで同時に通話できるんです。それはプライベートだけでなくビジネスにも役立つと思います。やはりこの2つの機能が他社との差別化要因になると思います。
朴氏:韓国ですと、きせかえテーマがかなり使われています。おそらく9割のユーザーはカカオが提供している標準のスキンを使っていないのではないでしょうか。多くのユーザーがスキンを購入したり、自作したオリジナルのスキンを使っていると思います。それとスタンプですね。動くタイプや音が出るタイプなど、さまざまなスタンプをご利用いただいています。
朴氏:もちろん品質も大事なのですが、やはりコミュニケーションという視点で考えると、ただ高品質になったからといって何がどう変わるのだろうと思っています。やはり我々としては、ボイスチェンジャー機能をはじめとする、日々のコミュニケーションを楽しむための機能を充実させていきたいと思っています。
村上氏:カカオトークの通話機能はカカオが自社開発しています。そこで重視しているのは、やはりコミュニケーションを途切れさせないということですね。高品質でもすぐに切れてしまうとイライラしますよね。カカオトークはどちらかというと、クオリティはそこそこでも、しっかり安定的に通話ができたり、少し回線状況が悪くなっても切れないように粘るみたいな、細かいチューニングを日々行っています。
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