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カカオトークの戦略--朴代表へのインタビューで見えた差別化への考え方 - (page 2)

許 直人(ループス・コミュニケーションズ)2013年01月23日 14時49分
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カカオトークのコンセプトは?

 「インターネットのビジネスは、入り口を押さえることがまず重要だと考えました」

朴且鎮氏
朴且鎮氏

 カカオジャパン朴社長は、カカオトークを世に出した基本コンセプトについてこのように語った。「ポータル」の時代には、Yahoo!をはじめとするポータルサイトがインターネットの世界への入り口だった。これらはいずれも「人と情報をつなぐ」というコンセプトが背景にある。「検索」の時代、ユーザーのホームページはGoogleだった。人々はGoogleから、インターネットの世界にある既知、未知の情報にアクセスした。

 しかし、スマートフォンなどモバイルの時代において、インターネットの入り口は「ホームページ」ではない。スマートフォンの「ホーム画面」を入り口として、各種ツール、ウェブサービス、ネイティブアプリも含むあらゆる世界につながっている。そして、ユーザーが持つモバイル端末は、別のユーザーの端末へとつながっている。

 スマートフォンの世界で勝者となるためには、入り口である「ホーム画面」を制し、「人と人をつなぐ」ことを実現しなければならない。これがカカオトーク開発の原点となる着想だったそうだ。

 ライバルであるcommは、ユーザーの可処分時間の使い方に着目していた。mobageでリーチできるユーザー層に限界を感じていたDeNAは、ユーザーの可処分時間の使い方を調べ、そこでもっとも割合の大きいことが分かった「コミュニケーション」を制するべきだと考えた。

 この、カカオトークとcommの着想の違いはわずかに見えるが、実は戦略に色濃く反映されている。

 カカオは、主力となるカカオトークに加え写真共有のKakaoStoryやファッション通販のKakaoStyleなど、コンセプトの違うプラットフォームをそれぞれ別のアプリとして提供している。ユーザーのホーム画面を「入り口」と捉えるからこそ利用ニーズの違いをそれぞれ分離しているのだ。

 一方、ユーザーがコミュニケーションに費やす可処分時間に狙いを定め、全世界のコミュニケーションインフラを目指すcommは、今のところゲームやECへの関与は送客だけに留め、自前では展開しない方向性を明確にしている。

 では、LINEと比較した場合はどうだろうか。

 「LINEが、カカオトークと方向性が違うな、とはっきり感じたのはタイムライン機能をリリースした時でした。LINEはLINEアプリ自体を入り口と捉え、プライベートコミュニケーションもパブリックコミュニケーションも、クーポンやエンタメも内包しようとしている。これからはこの違いがもっと明白になっていくはずです」(朴氏)

 現時点では似通った機能を実装しているかに見えるカカオトークとLINEだが、根底に流れるコンセプトは大きく異なっていることが感じられる。カカオトークは何を浮き彫りにするのか。

LINE、カカオ、comm――サービスにおける方向性の違い

 「我々がユーザーに提供できる新しいコミュニケーションの体験は何か、ということを常に考えている。カカオトークも最初から正解が見えていたわけではなく、1対Nのコミュニケーションができる『カカオアジト』、N対NのコミュニケーションができるTwitterのような『カカオスダ(おしゃべり)』などコンセプトの異なる複数アプリを同時にリリースし、ユーザーのリアクションを見た上で、最も反応のよかったカカオトークに注力しようと決めた。私たちは仮説と提案はできるが、答えを持っているわけではないことを自覚している」(朴社長)

 この「新しいコミュニケーション体験」という言葉の印象は、commやLINEとはまた違った未来を予感させる。commが目指すのはコミュニケーションインフラで、その目指すイノベーションは「実名で探せること、話したい時に話したい人とすぐつながれること、そして安定した品質のコミュニケーションを提供できること」。「コミュニケーションの品質」と「ユーザーのデータベース」的な部分にある。

 LINEについては、各種報道を見た上で、まずは近しい人の絆をつなげるコミュニケーションインフラを目指していると判断できる。その先に見ているのはモバイルインターネットにおけるマスメディアではないか。マネタイズにおいても施策においても、「メディア」を感じさせるものが多い。そこには、暗黙的に「企業とユーザーの接点」というペイドメディアのニュアンスが含まれる。

 筆者の主観では、例えるなら電話のような信頼できる安定したグローバルなインフラを目指すcomm、人と人をつなぐ手段に新機軸を提案するカカオトーク、モバイルにおける新しいマスメディアのあり方を模索するLINE、ととらえている。

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