iTunes 11登場!タッチパネル搭載Macを見据えた変化か--松村太郎のApple一気読み

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 11月26日~12月2日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

 いよいよ今年も残すところあと1カ月となった。感謝祭後のセールスでは、iPadがEコマースにおける新しいショッピング手段として頭角を現す結果となった一方で、引き続きタブレット市場、スマートフォン市場でAppleとGoogle・Android陣営の鍔迫り合いが続いている。また、先週から2013年に向けた面白い動きがニュースになり始めている。それでは1週間のAppleニュースを振り返ろう。

SIMロック版のiPhone 5発売--しかしLTE対応の決定権は「Apple」に

 Appleがこれまでの端末と同様に、iPhone 5のSIMロックフリー版を発売した。米国Apple Online Storeでも、Verizon、AT&T、Sprintの各キャリア版以外の選択肢が追加され、購入できるようになっていることを確認した。今回Appleが発売するアンロック版iPhone 5はGSMに対応したバージョンであるため、VerizonやSprintなどCDMA系のキャリアとは契約できない。つまり日本でも、auでは利用できないことになる。

 ただ、AT&TのLTEをサポートするiPhone 5(A1428)と、日本などでも利用されているGSM系/CDMAのiPhone 5(A1429)ではLTEの対応バンドが異なっているため、SIMロックフリーのiPhone 5を購入して米国AT&Tのnano SIMカードを差し込んでも、LTEにつながらない可能性がある。

 Appleは、LTE対応をソフトウェアアップデートを通じて実施している。例えば、iOS 6.0.0では接続できなかったドコモのLTEネットワーク「Xi」に、iOS 6.0.1では接続できた(筆者も接続を確認済み)ことから、各国のLTEネットワーク対応の主導権をAppleが持っていることがうかがえる。

 11月30日の記事では、Swisscomの話として、キャリアのLTEネットワーク対応はAppleのテストを経て実施されるとの話も伝わってきている。これまで無線機器はキャリアが適合を選択していたが、立場が逆になったことを意味する。

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「iPhone 5」の4G LTE対応、アップルがネットワークを試験して決定か(11月30日)
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iTunes 11登場--Apple体験の未来を占った感想は「賢い!」

 iTunes 11が、予定より1カ月遅れてリリースされた。今回の目玉は刷新されたユーザーインターフェース、シャッフル時などの曲陣確認と編集ができる「Up Next」(次はこちら)、そして高機能化されたミニプレーヤーなど、魅力的な機能が満載となった。これまで表示されていた左側のソース欄はデフォルトでは出なくなったため、これまでのiTunesを使いこなしてきたユーザーにとっては慣れるまでストレスフルな年末を迎えそうだ。

 iTunesは単なるメディアプレーヤーとしても十分高機能だが、近年、Appleのユーザーインターフェイスのトレンドや「Apple体験」そのものを占う「先導役」としての役割を果たしてきた。例えば、iTunesのウィンドウはMac OS X標準のテクスチャが変更される前にヘアライン加工がないつるっとした表面に変わっていたり、初代iPhoneのiPod機能でおなじみとなったCover Flowが搭載されたのもiTunesが先だった。

 そういう視点でiTunes 11を見て気になった機能は以下の通り。


アルバムジャケットが並ぶ新インターフェース
提供:Apple

・将来のタッチパネル搭載Macを見据えた変更か--グラフィックをタップする操作性に

 iOSを使っていて使いにくさを感じるのは、意外と文字をタップして操作する場面が多いこと。パソコンならマウスがあるからよいのだが、iPad miniのように画面の縮小で文字サイズも小さくなると辛い。iTunes 11は大きなジャケット画像をめくるユーザーインターフェースを主体としており、リストの文字をタップする機会は減っているように感じる。

・Geniusより賢いサイドバー

 標準ではソースやプレイリストを表示するサイドバーが表示されなくなり、しばらく使いにくさを感じていたが、いざプレイリストに曲を追加しようとドラッグする際に、「サッ」と右側にプレイリストの一覧が表示され、不用になると再び「サッ」と隠れる。イマイチ恩恵に授かるチャンスに恵まれないGeniusよりも、動作を察して必要なリストを差し出してくれるサイドバーの方が賢いんじゃないか、と思ってしまった。

・アルバムをクリックして表示される画面の背景は……

 これまでAppleのユーザーインターフェイスは、サードパーティーのアプリに至るまで、「統一感」が使いやすい雰囲気を作り出していた。ボタンや操作方法、色、画面の構成など一定のガイドラインを提供し、それをAppleの純正アプリでお手本を示していたことが功を奏していたように思われる。しかしだんだんそれにも飽きてきたかもしれない。しかし、iTunes 11で、アルバムをクリックしてみると、ちょっと楽しくなってくる。アルバムのジャケットの色に合わせて、背景の色を変更してくれるのだ。こうした小気味よいアレンジにも、賢さを感じる。

・一番賢いのはフル操作が可能なミニプレーヤー

 今回の目玉はやはりミニプレーヤーだ。アルバムのサムネイルが表示できるようになったことももちろんだが、「Up Next」や曲に対するレートやプレイリスト追加の操作、検索、AirPlayのスピーカ選択など、音楽を聴いている状態でやりたい機能は全てこの小さなユーザーインターフェースでこなすことができるようになった。場面に応じてウインドウの形も変えて、使いやすいサイズになってくれるところもよい。欲を言えば、筆者は全画面操作で作業をすることが多いので、通知センターで操作できるとよいのだけれど。

 こうして見ていくと、タッチ操作でもある程度使いやすいデザインに仕上がっていることが分かる。例えば、近い将来タッチパネルを搭載するMacが登場しても、このiTunesなら大丈夫なのではないか、と思わせてくれる。ギフトカードのウェブカムで読み込める機能の搭載も、なるべくキーボードを使わせない配慮とみることができる。

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ホリデーシーズンのApple商戦

 米国では感謝祭(今年は11月22日木曜日)の翌日からスタートするホリデーシーズンの商戦がスタートしている。Apple StoreとMicrosoft Storeの直営店の比較やIBMによるEコマースの動向調査など、興味深いデータが出てきており、今年のキーワードは良くも悪くもiPadになっているようだ。

 注目しているのは、ミネアポリスのApple Storeで1時間に平均11台売れたという調査結果。Microsoft Storeで売れたSurfaceは0台だったという比較はさておき、2011年は14.8台のiPad 2が1時間に売れており、iPad、iPad miniを合わせてもこの数字に届かなかった点は気になる。全般的に品薄であった点、オンラインでの予約に移行している点も考えられるが、やはり店頭で買ってすぐに開けて使うという体験の方が楽しさやうれしさが大きいのも事実だ。

 そのEコマースのデバイスとしてiPadが重要なツールになっているデータも出ている。オンラインショッピングでタブレットを利用したユーザーは88.3%がiPad利用、iPhoneと合わせると、オンラインショッピング全体の18.5%を占める結果となった。

 iPad miniは品薄の状態が続いているが、感謝祭商戦から遅れること1週間で最新版のiMacが発売となった。それだけ、11月23日のセールはiPadにフォーカスしたかったのではないか、と見ることもできる。せっかくなら一度で済ませて欲しいと思う反面、縁がたった5mmしかないiMacの立ち姿は、もう一度Apple Storeに足を運んでもいい、と思えるほどの魅力的な仕上がりだった。

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地図問題のその後とiPhoneのハロー効果を利用する自動車

 いよいよ年末ということで、1年間の総括の記事も出始めているが、CNETでワースト10の第2位に選ばれたのがiOS 6に搭載されたAppleの地図問題。上質な体験をキープしてきたApple製品に泥を塗ったことは間違いないが、Appleの役員人事にも影響を与え、体制を変える契機を作り出していることも注目すべきかもしれない。

 一方欧米の自動車メーカーはAppleと契約を結び、Siri機能を直接呼び出せるシステムを搭載した自動車のアナウンスが相次いでリリースしている。Siriに対応する自動車を高級車ではなく若者向けの小型車から発表している点で、Appleへの対応は若者向けの付加価値と位置づけている点が興味深い。記事にあるシボレーではSpark、Sonicの2車種が対応するが、いずれも小型車だ。

 余談になるが、ダウンサイジングによって米国車が生まれ変わっている。CNETの米国版で紹介されていたフォードの小型車Fiestaも1Lターボエンジンと6.5インチタッチパネルディスプレイを搭載し、自動車技術とデジタルを売りにしてきた。ブランディング面でも、AppleやStarbucksのような「世界共通で愛されるブランド」になろうと取り組んでいるように見える。

 日本車のようにハイブリッドや電気自動車などの優れた自動車技術一辺倒でのブランディングでは、近い将来勝負できなくなることは、現在の家電業界の状態をみれば予測にたやすい。

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Appleの裁判・知的財産権関連

 世界中で展開されるAppleとSamsungの一進一退の裁判の様子が毎週伝わってくるが、Appleの地図が第2位に選ばれた2012年テック業界ワースト10の1位に、米国の特許制度がランクインしている。大企業の一挙手一投足に対して権利侵害を申し立てる米国のカルチャーが、非常にシンプルで基礎的なデザインやインターフェイスにも特許を与えている点に対して批判的な立場、というよりはうんざりしているといった様子。

 非常に速い速度で展開する競争とその中で利益を最大化すること、これとアイディアを尊重することをいかに両立させるのか。米国内でも問題なのに、ここにさらに速度の速い新興国の企業が競争を仕掛けている現状で、まさに一筋縄ではいかない状況になっているのが現在だろう。この問題は来年以降も続いていくことになるとみられる。

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米CNETが選ぶ2012年テック業界の出来事ワースト10 - (page 10)(12月1日)

その他

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