11月5日~11月11日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
Appleは、iPhone 5、iPod touchとiPod nano、iPad mini、iPad Retinaディスプレイモデル、MacBook Pro Retinaディスプレイモデル 13インチ、Mac mini、そしてiMac──と、MacBook Air以外の主力商品のアップデートを完了させた。主力市場となる米国最大の商戦、11月末から始まるホリデーシーズンに備えた形だ。
しかし、iPad miniを発表して以来、Appleの株価は下がり続けており、500ドル台前半にまで落ち込んでしまった。特にモバイル市場において、Google、SamsungなどのAndroid陣営とのシェア争い、法廷での争いが激化する中で、Appleの「備え」がどのように展開するか、注目が集まる。
2012年第3四半期の様々な指標が出揃っている。AppleはiPhone 5、iPad miniについて華々しいスタートを切ることに成功している一方で、ちょうど四半期の狭間にかかる魅力ある製品の立ち上げによって、ユーザーの「買い控え」を招く結果となったが、果たして買い控えだけが原因だろうか?
特にインパクトが大きかったのは、Appleがこれまで市場を作り、市場をコントロールしてきたとも言えるタブレット市場だ。初代iPadで90%を超えるシェアを保っていたが、2012年第3四半期には、iPadのシェアは50%まで追い込まれてしまった。もちろん、iPad miniと第4世代iPadはこの数字に含まれておらず、2012年第4四半期に息を吹き返すように数字が回復する可能性もある。しかし、今度は、この数字がどこまで戻るのが問題になる。
またスマートフォン市場でも、端境期で苦戦を強いられる形となった。2012年第3四半期のスマートフォンの端末別のシェアで、iPhone 4SをGalaxy S3が抜き去る結果となった。iPhone 5は同四半期に数日間しか販売されておらず、新機種登場がアナウンスされていたために顧客もそれを待つ形となったが、複数のバージョンを素早く投入するSamsungの戦略と、1モデルをじっくりと育てるAppleの戦略で差が出てきている。
しかしながら、今後もモバイル市場は好調に推移し、成長を続けるという見通しが示され、Apple、Samsung、Google、そしてMicrosoftはこのトレンドの渦中にいる。特にMicrosoftはWindows 8とSurfaceによって、ある種の「脱PCパラダイム」へとコマを進め始めている点も注目したい。
アップル、サムスンに関する謝罪声明を修正--英国控訴院の命令を受け(11月5日)iOS 6の地図問題はAppleの役員人事にも影響したという報道がでるほど、ユーザーもAppleも混乱させている一方で、待望されるのがこれまで親しんできたGoogle謹製の地図アプリだ。GoogleはYouTubeこそ、iOSの標準アプリから外れても代替のアプリを用意していたが、地図はすぐには用意されなかった。
待望される地図アプリに関して、提供される、されないの議論が続いているが、The Guardianに掲載された「Google MapsがAppleに承認されないかもしれない」という懸念に対する反論記事がCNETに掲載されている。AppleがiOS上での地図アプリについて特許を申請している点は気になるが、Googleの準備が整えば登場するのではないか、という楽観的な見方でよいのではないだろうか。
アップルが「iOS」向け「Google Maps」を拒絶できない理由--The Guardian報道を考える(11月8日)オバマ大統領当選の裏で、雇用統計が上向いているという数字は少なからず影響があったのではないだろうか。しかし近年米国を代表するようになったStarbucksやAppleに対しては、税金の面、そして雇用の面で、米国に貢献していない、という厳しい見方も少なくない。
米国に住んでいて印象的なのは、ローカルニュースでFacebookが上場した際の報じられ方だ。もちろんテクノロジーニュース並みに詳しく上場が報じられる一方で、上場による資金調達や社員の株の売却によって、今後数年間、カリフォルニア州の税収にどのように影響があるか、という点を報じているのだ。AppleもGoogleもFacebookも、カリフォルニア州にとって地元企業。彼らが地元にどう影響を与えるのかに関心が集まるのも不思議ではないと思う。
そんな中で、Appleは米国内では122億6000万ドルの連邦税と10億6000万ドルの州税を支払っていることが分かったが、米国外の利益に対する納税率が2%未満である点が指摘された。海外の有利な税制を活用していると見られるが、しかし英国などはこれに対して批判の目を向けようとしている。
また米国内の産業を立て直す動きに対しての貢献も、企業の社会的責任の観点から注目されている。例えば、Starbucksは米国で利用するマグカップについて、これまで中国製を利用してきたが、これを米国内での製造に切り替える発表をしている。またAppleも、iPhoneやiPadなどの製品について、ガラスやA6等のプロセッサが米国内で作られている点をアピールする動きがある。
さらに、Foxconnが米国内に組み立て工場を作ることを検討しているという報道が流れてきた。中国での組み立ては、規模、安定して確保できる安い人件費がポイントだったが、昨今の労使問題や中国国内の不安定化が指摘される中で、引き続き中国内での生産を続けることがメリットばかりではなくなってくる局面もあり得る。
Starbucksは、マグカップを米国内での生産に移す際に、輸送面でのメリットを挙げている。通常中国から輸送する際に13日かかっているものが一両日中に短縮でき、サプライチェーンマネジメントをより簡略化できると指摘する。Appleがもし米国に回帰していくなら、どのような成果を上げることになるのだろう。
アップル、2012年度米国外利益の納税率は2%未満--SEC提出書類で明らかに(11月5日)16Gバイト版のiPad miniは329ドルとライバルよりも高い価格で発売されたが、顧客からのウケは上々のようだ。最初の週末、第4世代iPadと合わせて300万台を売り上げ、その大半がiPad miniで占められていると伝わってきた。また11月16日前後から米国内でiPad miniのLTEモデルが登場し、こちらはWi-Fiモデル以上に多くの台数を期待できる可能性もある。
米国では日本と違い、VerizonやAT&Tが、現在スマートフォン向けに契約しているデータ通信プランに、タブレット端末を参加させ、その容量を共有して利用できる仕組みを提供している。Verizonでは「Share Everything」と呼ばれる、データ主体、複数のモバイルデバイスを利用しやすくするためのプランへの移行を促しているのだ。
つまりタブレットが1台増えても、モバイル通信の月額料金が倍になるということはなく、タブレットも通信が可能なモデルを選びやすい環境が整ってきている。この点、日本との事情の違いがあり、LTE版の発売でさらに良い数字を期待することができるのではないか、という個人的な予測の根拠になっている。
「iPad mini」、部品コストは最低188ドルか(11月5日)Appleの役員を務めるEddy Cue氏は、iTunes Music StoreやiTunes Movie Rentalなど、これまで事例がなかったレーベルや映画スタジオとの交渉をまとめ上げてきたAppleのビジネスに欠かせない交渉人としての側面がある。そんな彼は、自動車のコレクターとしても知られ、フェラーリの取締役に就任するというニュースも。
アップルの「修理請負人」E・キュー氏--その人物像と期待される役割(11月7日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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