iPad mini発売、「ポスト・ジョブズ」に舵を切るアップル--松村太郎のApple一気読み

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 10月29日~11月4日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

 今週のはじめ、ワシントンやニューヨークなど米国の政治・経済の中枢がある、東海岸をハリケーン「サンディ」が接近・上陸した。特に被害が大きかったのは上陸ポイントとなったニュージャージーだが、その隣のニューヨーク・マンハッタンも高潮の被害に遭った。東海岸の広範囲で停電に見舞われたり、地下鉄や高速道路のトンネルの浸水が起きたりするなど、生活や経済は麻痺した。

 そんな週にiPad miniが発売となったが、これ以外にもAppleにとって小さくない変化が生じている。それでは、ニュースを見ていこう。

「ポスト・ジョブズ」の体制作りを急ぐApple

 今週、Appleは社内の幹部の人事を刷新すると発表した。大きな変更は、Apple Storeなどリテールを統括するJohn Browett氏と、これまでiOSを統括してきたScott Forstall氏がそれぞれ退任することになった。特にScott Forstall氏はSteve Jobs氏とNeXT時代から経験を共にしてきた人物であり、その退任は大きく報じられた。報道では、iOS 6の地図アプリの不出来に謝罪するメッセージへの署名を拒否したことが原因と見られている。

 一方、これまでの幹部であったJony Ive氏、Bob Mansfield氏、Eddy Cue氏、Craig Federighi氏の職務は拡大される。企業内のグループの再編成によって、今後のAppleのプロダクトやソフトウェアがどのように変わっていくかを考え始めることができるようになった点に注目したい。

 これまでOS X、iOS、プロダクトデザインと担当が分かれていたが、OS XとiOSをCraig Federighi氏、プロダクトとインターフェイスデザイン全般をJony Ive氏、そしてiTunes・iCloud・Siri・マップなどのオンラインサービスをEddy Cue氏がそれぞれ統括する体制に変更された。

 これらの変更によって、それぞれの領域で、Mac、iPhone、iPad、そしてオンラインサービスの統合がより強固なものに変わっていく可能性がある。デザインについては、Jony Ive氏なら物体としてのプロダクトと画面の中のソフトウェアをより高い次元で融合させようとするだろう。

 例えば、iOSで多用されていた、現実のものを再現する表現手法「Skeumorphisms」から、よりシンプルなデザインへと変更されるかもしれない。iBooksの本棚、カレンダーの古めかしい手帳、アドレスブックの装丁などがそれにあたるが、Windows 8やWindows Phoneを見ていると、そろそろ古めかしいものに見えていている、との批判も出ているからだ。

 プロダクトを一通りリリースし終えて、万全の体制で米国で最も消費の動くホリデーシーズンの準備を整えたAppleは、次年度以降の戦略の体制を整えていくタイミングが今だ。どのようなスピード感でこの組織再編の効果が現れ始めるのか、注目していきたい。

アップル、幹部人事を刷新--「iOS」トップは2013年に退職へ(10月30日)
アップル「iOS」責任者の退職、「Maps」謝罪文への署名拒否が原因か(10月30日)
アップル、「iTunes 11」の公開を約1カ月延期--11月末までのリリースへ(10月31日)
アップル株価、600ドルを割る--S・フォーストル氏退職発表後初の取引(11月1日)
アップル、2012年度の研究開発費が約40%増加(11月1日)

iPad mini、第4世代iPad発売、その詳細は?

 iPad miniが世界で発売された。筆者が住んでいる米国西海岸では、iPad miniのホワイト&シルバーが人気で、近所のApple Storeでも午前8時開店から30分で、ホワイト&シルバーの16Gバイト、32Gバイトの両モデルは売り切れてしまった。ちなみに、iPhone 5発売日には200人が並んでいたApple Store 4th Street(Berkeley)での開店前の行列は40人。LTEモデルがまだ発売されないということで、行列はさほど伸びなかったようだ。

 早速各種レビューやiFixitによる分解などが始まっている。Amazon Kindle Fire HDの比較広告でiPad miniは「モノラルスピーカー」と指摘されていたが、実際にはステレオスピーカー搭載となっていた。高級感があるがしかし軽くて薄い筐体は、ライバルの製品よりだいぶ高い価格をギリギリで飲み込むことができる。なにより、これまでのiPhoneやiPad、iTunesで買いそろえたアプリや音楽、映画をそのままコンパクトに持ち運べる点で、大きな容量を選んでおきたくなる。

 皆さんはいかがだろう。

第4世代「iPad」、Wi-Fi対応モデルの初回出荷分が品切れに(10月31日)
「iPad mini」開封の儀--本当に片手に収まるか?(11月2日)
「iPad mini」、iFixitが分解--構造は「iPod touch」と類似(11月2日)
「iPad mini」、米国で発売開始--写真で見るアップル直営店前の様子(11月3日)
「iPad Retinaディスプレイモデル」開封の儀--前モデルとの変更点は?(11月3日)
第4世代「iPad」をiFixitが分解--スペースの有効利用に難あり(11月3日)

iPadのライバルたちの動きも活発化

 日本ではiPad mini発表から開けた金曜日にAmazonがKindle Storeを開始したほか、Kindle PaperwhiteとKindle Fire HDの発売を発表した。日本でもiPad miniのライバルとしてNexus 7、Kindle Fire HDが出揃ったことになる。

 各種メディアやAmazonのウェブサイトでは、iPad miniとの比較が展開されている。iPad miniに死角があるとすれば、ディスプレイがRetinaでないこと。デバイスの高級感からすれば、手にとって購入するまでの瞬間は大きな問題ではないが、毎日見始めると問題だと感じ始める。

 Mac、iPad、iPhoneとRetinaディスプレイに慣れている筆者からすると、大きい文字を読む電子書籍を除いては、Retinaディスプレイではない点はかなりマイナスポイントだ。特にウェブ閲覧のほうが影響が大きい点は、書籍とウェブの関係性を考える上でも、意外な気づきだった。

アマゾン、「Kindle Fire HD」と「iPad mini」の比較広告をトップページに掲載(10月29日)
7インチクラスタブレットを比較--「iPad mini」「Nexus 7」「Kindle Fire HD」 (10月29日)
フルサイズタブレットを比較--「Surface」「iPad」「Transformer」(10月31日)
グーグル、「Android」アプリ70万本達成を明らかに--アップル「App Store」と並ぶ(10月31日)
グーグル、「iOS」向けに音声検索機能を新たに提供--「Siri」に対抗(10月31日)
第3四半期の世界スマートフォン市場、「Android」のシェアが「iOS」の5倍に(11月2日)
サムスン、米市場調査で携帯端末メーカーの首位を維持--アップルはLGに肉薄(11月3日)

その他

 これまでも一気読みで追いかけてきたAppleとSamsungの訴訟。英国ではGalaxyがiPadを模倣していないという判決が出て、これをウェブサイトや広告で告知せよ、という命令まで食らったAppleが、自社サイトに小さくその内容を載せ、Appleらしい皮肉が効いた文章に仕立てて掲載したところ、英国の裁判所は命令違反と指摘。48時間以内に書き直した上、再提出を求めた。

 Appleは当初書き直しに2週間かかるとしていたが、48時間以内に際掲出した。そのページは真っ白で画像もなく、事実のみが書かれたページは、渋々掲載を強いられている感じが伝わってきて、再び判事の機嫌を損なわないか、心配ではある。

 iOSはiOS 5以降、Twitter・Facebookなどのソーシャルプラットホーム、Yelp・MLBなどのウェブ上で人気がある情報サービスとOSレベルでの深い連携を実現し、利便性を高めている。この点は、全て独自サービスで揃えようとするGoogleとは違う一面を見せているが、iOSと連携するとモバイルからの利用率が上がる点はTwitterだけでなくYelpも経験している模様だ。

アップル、「iOS」における地図アプリの統合に関する特許を取得(10月31日)
アップルの「iMessage」サービス、再び一時的な中断に遭遇(10月31日)
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Yelp、第3四半期決算を発表--売上高は前年同期比63%増(11月2日)
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