10月22日~10月28日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
iPad miniが発表され、発売日となる11月2日に向けて予約が始まった。米国では16Gバイトモデルが初回分売り切れとなり、より安いモデルが好まれている様子が分かる。また、Microsoftは最新のWindows RTを搭載したタブレットSurfaceをリリースし、Amazonは日本向けにKindle Fire、Kindle Paperwhiteをリリース。非PCデバイスの戦いはより激化している。
それでは、ニュースを見ていこう。
米国西海岸時間10月23日午前10時から、Apple本社から近いカリフォルニア州サンノゼにあるカリフォルニアシアターで開催されたメディアイベント。イベントに向けて、iPad mini、iPad 4、Mac製品の刷新などの情報が飛び交う中、その大方の予想を叶える形でイベントが開催された。日本からも取材陣が招待され、またAppleによる映像の生中継もあり、日本からもたくさんの人々が発表を楽しむことができただろう。
アップル、23日のイベントで「iPad 4」発表か?--ドックコネクタと思われる画像が流出(10月22日)今回の目玉となったのがiPad miniの発表だ。7インチではなく7.9インチという、競合のタブレットとは違うカテゴリの画面サイズを提案してきた。しかしそれはiPadの生態系にはフィットするもので、1024×768ピクセルという解像度はこれまでのiPad、iPad 2と同じ解像度であり、同時に発表されている第4世代iPadとアスペクト比4対3を共有する。iPad向けのアプリはこれまで通り動作することを意味し、iPadが2年半の間リードしてきたタブレット市場の優位性を、7.9インチの小型サイズでも最大限に生かそうとしている。
筆者はかねてより、「重さ」と「価格」が重要なポイントだと指摘してきた。
前者の重さについては、308gは非常に良好な数字だ。iPadの約半分、競合の7インチタブレットはNexus7で340g、Kindle Fireで395gであることを考えると、iPad miniは有利だ。かといって、質感を落とさずに仕上げている点もAppleらしい。発表会で触れた記者によっては、あれだけ質を褒められたiPhone 5が、「若干プラスティッキーに感じる」と指摘するほどだ。軽くするだけでなく、バランスも質に影響する好例だろう。
そして価格も重要だ。日本では、16Gバイトモデルは2万8800円で発売される。確かにこれまでのiPad製品からすれば安いが、Kindle FireもNexus 7も2万円を切る価格設定をしており、割高に映る。Appleはこの価格設定について、「決して高くない」と語っている。Appleのデバイスが非常によく売れているため、Appleがプレミアムブランドであることを完全に忘れてしまっているのだが。
また、Appleはこの小型タブレットの領域でも、他のデバイスと同様にきちんと利益を出そうとしている点もAmazonとは違うし、コンテンツ収入のメドが不透明なGoogleにとっても課題となるだろう。
iPad miniのディスプレイ供給に関する懸念が出ている。Appleと各国で係争中のSamsungからiPad miniのディスプレイが供給されていないと見られる中で、どのようにディスプレイを確保していくは、iPad miniの順調な販売台数の積み上げに影響していきそうだ。iPhoneもiPad miniも、ターゲットは11月末から始まるホリデーシーズン。1カ月以内に潤沢な在庫を揃えられれば、1家庭が複数台のiPad miniを購入する様子を見られるかも知れない。
また、「新しいiPad」と呼ばれていた第3世代iPadは半年間という短命で更新され、第4世代iPadには「iPad Retinaディスプレイモデル」というMacBook Proと同様のルールの名前が与えられた。名前に加えて、チップがA5XからよりコンパクトなA6XにCPUが刷新されたことと、30ピンドックからLightningにコネクタが刷新されたこと、そしてLTEがiPhone 5の用により広い地域で利用できるようになった点が主な変更点となる。
アップルの「iBooks」、連続スクロールの機能など追加(10月24日)iPad miniと同時に刷新されたのがMacのラインアップ。MacBook Airは据え置かれたが、MacBook Pro13インチにRetinaディスプレイモデルが追加された他、Mac mini、そして新しいデザインとなったiMacが発表された。
今回発表されたモデルはいずれもSuperDriveと呼ばれる光学式ドライブが非搭載とされた。MacBook Airは光学式ドライブがないことが特長となっていたが、今後Appleは内蔵光学式ドライブを排除していく方向性を改めて明確にした。iCloudによるバックアップやデータ共有の体制、さらにはサードパーティーのGmail、DropboxやEvernote等も活用しながら、光磁気ディスクやバックアップの手間をMacから排除する動きは、今後も続くだろう。
しかしこれは、Appleが提供するiTunesやApp Storeといったエンターテインメントやアプリのダウンロード販売のため。デバイスをコントロールしながらコンテンツビジネスを伸ばす戦略は、引き続き継続していくことになる。
またAppleが新たに提供したFusion Diskは、これまで「ハイブリッド・ドライブ」と呼ばれていたフラッシュストレージとハードディスクドライブを1つのディスクとして共存させる仕組みと同じだ。ただ、市場の多くの製品は64Gバイトのフラッシュストレージを搭載していたが、Fusion Diskでは128Gバイトのフラッシュストレージを搭載し、OSだけでなくアプリや使用頻度の高いファイルを自動的にアクセス速度の速いフラッシュストレージから利用する仕組みだ。
フラッシュストレージに移行済みのMacBook Airで起動スピードなどに感動したことがあるユーザーなら、このメリットを直感的に理解でき、一方でフラッシュストレージに対する不満となっていた大容量が効果である点を解消する、魅力的な提案となる。
写真で見る新型「MacBook」「iMac」「Mac mini」(10月24日)Appleの23日の発表会に続いて、26日には2012年第4四半期の決算が発表された。この2つの発表の中で、Appleの現在に関するさまざまな数字が発表されている。まずiPad mini発表のイベントではiPadが1億台を出荷したことを明らかにした。iPad、iPad 2、新しいiPadによって達成した数字だが、ここにiPad miniが加わり、どのように速度が変わるのか、という点に注目したい。
また決算では、売上高は360億ドル、利益は82億ドル(1株あたり8.67ドル)。アナリストの予測では、358億ドル、1株あたり利益を8.75ドル、Apple自身の予測は売上高が340億ドル、1株あたり利益が7.65ドルであった。売上高はいずれの予測も上回ったが、利益はアナリストの予測を下回る結果となった。
iPhoneの販売台数は2690万台で、ウォール街の予測である2500万台を上回り、前年同期からは58%増加した。iPadの販売台数は1400万台で、予測の1700~1800万台を大きく下回っている。Macは490万台、iPodは520万台。iPhone以外の販売台数は予測に届かなかったことになる。
さらにAppleは、来年のQ1の利益はより悪くなると予測している。iPad miniの販売当初の粗利はAppleの他の商品よりも悪いからだ。しかしそれでも、製造原価を下げる努力をしながら、iPad miniからの利益も拡大させようとしている。
市場の中では「割高」と烙印を押されているiPad miniだが、Appleとしては「勉強してます」との説明。このギャップがどのタイミングで解消に動くのか、あるいはiPad miniの販売に影響があるのか、注目していきたい。
数字で見るアップルの実績--アプリダウンロードは350億件、「iPad」販売台数は1億台(10月24日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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