2011年のiPhone 4Sでは、ネットワークは少し向上して3.5Gになり(iOS 5.1以降のiPhone 4Sでは「4G」と表記されている)、AT&Tの高速データ通信サービスを利用できた。iPhone 5ではようやく、より高速なLTEを採用し、市場に出回っている他の多くのスマートフォンに追いついた。第3世代のiPadでさえ、3月にLTEが利用可能になっていた。(LTE利用中は、iPhoneの画面の一番上に、「LTE」というサービス表示が現れる)。ただし、LTEが使えると言っても、世界中でLTEを使えるわけではない。
購入したiPhone 5のバージョンによって、より低速なGSM(EDGEおよびUMTS/HSPAを含む)またはCDMA/EV-DOネットワークもサポートしている。iPhone 5のLTEは、音声通信とデータ通信に1つの無線チップと、異なるネットワーク間で接続を自動的に切り替える「動的アンテナ」を使っている。
LTEのないキャリアでは、iPhone 5はデュアルパンドの3.5G HDPA+を使用する。私はLTEと4Gの切り替え時に問題が生じたのに気付いたことはないが、私はLTEサービスがある場所や、ない場所にずっと留まっていることが多く、通話中に切り替えが起こる場合のテストにはあまり時間を割かなかった。
しかし、1つ問題がある。米国のiPhone 5には2つのバージョンがあり、その1つはGSMモデルであり、もう1つはCDMAキャリア用のものだということだ。LTEをどこでも使えるiPhoneの夢は実現しなかったかもしれないが、2Gと3Gでは国際ローミングが利用できる。また、Verizon版とSprint版のiPhone 5は、まだ通話とデータ通信の両方を同時に行うことはできない。他のVerizon/SprintのLTEスマートフォンはこれを解決しているにも関わらずだ。これは、他のスマートフォンはLTEと音声に2つのアンテナを用意するシステムを使っているが(LTEではまだ音声は使えない)、iPhone 5では1つの動的アンテナしか使用していないためだ。Appleはこれを、接続の安定性を向上させるためだと述べている。
それはともかく、4G LTEを使ったデータ通信は驚くほど高速だ。これは、決して緩やかな変化ではない。私は、マンハッタンのアッパーウェストサイドにある自宅で、AT&T版iPhone 4SとAT&T版iPhone 5を同時にテストしてみた。すると、iPhone 4Sの「4G」を使った平均ダウンロード速度は2.4Mbpsだったが、iPhone 5では平均20.31Mbpsだった。これに対し、自宅で使っているTime Warner経由の無線インターネット接続は、私がテストをした時間帯(午前1時30分)の平均速度で9.02Mbpsだった。
この違いは、ウェブページを読み込む際にも感じられた。モバイル版の米CNETの読み込みにかかった時間は、LTEでは5.3秒だったが、iPhone 4Sでは8.5秒だった。Huffington Postのデスクトップ版のようなグラフィックが多いウェブサイトは、LTEでは16秒だったが、4GのiPhone 4Sでは23.3秒かかった。
すでに4G LTEを使っているユーザーにとっては、そう聞いても、うなずく程度のことだろうが、アップグレードを検討しているiPhoneユーザーにとっては、これは大きなニュースだ。多くの人にとっては、LTEは自宅のブロードバンド接続よりも高速だろう。
もちろん、これは危険な誘惑だ。高速なLTEには、高い料金とデータ量の上限が伴う。AT&Tの場合は、電話回線越しのFaceTimeを有効にするには、特別なプランに加入する必要もある。私はiPhone 5を使って自分のMacBook Airで使う無線ホットスポットを設定してみたが、その結果はたいていの場合素晴らしいものだった。
無線LANも、2.5GHzと5GHzの同時デュアルバンド対応の802.11nがサポートされたことで、少し高速化された。私の家には無線LANを使うガジェットが山のようにあるにも関わらず、これまで経験したことはないが、これは万が一他の無線LANデバイスとの干渉が起こった場合は役に立つはずだ。
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