サンフランシスコ発--AppleとGoogleは典型的な「フレネミー(友好的な関係にあるように表面上は見える敵)」だ。つまり、お互いの利益が一致しているときは協力し、相手の急所を攻撃するチャンスがめぐってきたときはそれを実行する。Appleが米国時間6月11日、自らの計画を進めるためならばGoogleとの結び付きを断つこともいとわない姿勢を明確にしたことは、まさにこの関係を表していた。
当地開催の技術者向け年次会議Worldwide Developers Conference(WWDC)では、さまざまな製品およびテクノロジ関連の発表が行われた。Appleはその中で、同社の音声アシスタントソフトウェア「Siri」の対応範囲を拡大することや、完全に刷新した地図アプリを提供することを明らかにした。さらに、同社の携帯電話とタブレットにおいてFacebookとの緊密な統合を実現する。すべてがAppleの望み通りに展開すれば、GoogleをだしにしてAppleは自社のリードを広げられるだろう。その方法を以下で説明する。
おそらく、「iOS」向けの新しいMapsで最も顕著にこれが表れているといえるだろう。Appleは同社のすべてのモバイルデバイスから「Google Maps」を引き上げ、自社製の地図機能を取り入れた。
その成果は目を見張るものだった。新しい3D機能では、ユーザーはAppleが独自に撮影した写真を使って、さまざまな都市を俯瞰したり、建物を確認したりすることができる。Googleは先週の記者会見で、本質的に変わらない機能の詳細なデモを披露し、2012年中に同機能をiOSに提供することを約束していた。
今回の動きは、AppleとGoogleが消費者の財布をめぐって激しい戦いを繰り広げる中で、Appleが自社のモバイルOSをGoogleのものと差別化しようとする、より大きな取り組みの一環にすぎない。最初の衝突は、両社がモバイルデバイス分野で競合し始めたときに小売店の陳列棚で起こった。その後、Appleが「Android」機能に関連する特許をめぐってAndroidデバイスメーカーを攻撃し始めたことで、戦いは法廷にまで飛び火した。
Googleが本当に打撃を受けるのは、その情報の流れにある。製品開発や広告では、人々がどのエリアを検索しているか、そしてどのようなデータを欲しているのかは極めて貴重である。Appleは都合よくその両方の分野に関与している。そして今や、データをライバルと共有する必要はない。
さらに、Appleは同社の地図アプリをある種のマーケットプレイスと位置づけることで、何か違ったことをしようとしている。同社は11日の基調講演で、Mapsを通してほかの企業が開発した位置情報アプリを利用できるようにすると述べた。だがそれは、Appleが死に追いやった、iOS用のほかのGPSアプリに対する譲歩にすぎないのかもしれない。
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