MSとBarnes & Nobleの提携--「NOOK」事業が資金以外に得るもの - (page 2)

David Carnoy (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年05月07日 07時30分

 Barnes & Nobleは米国時間4月30日の発表で、グローバル市場への進出についても初めて公に語った(NOOKデバイスを海外市場で発売する時期は依然として不明だが)。最高経営責任者(CEO)のWilliam Lynch氏は電話会議で、「Microsoftほど画面に多く表示される」企業はまれであり、この新しいパートナーシップによって、Barnes & NobleはNOOK電子書籍ストアを米国と全世界の多数のユーザーに向けて拡張していくことができるだろうと述べた。Amazonもグローバル市場への進出に積極的に取り組んでいる。言うまでもなくAppleは、膨大な数の「iPhone」と「iPad」を既に世界中で販売している。

 米国では、Appleと大手「6大」出版社のうちの5社に対する米国政府の訴訟(およびその後の3社との和解)を受けて、Amazonが再び電子書籍を値下げし、一部のタイトルを赤字で売るようになるのではないかとのうわさが流れている。かつて競合他社はAmazonの価格に対抗するのに苦労していたが、Microsoftによる資金の提供によって、Barnes & Nobleが価格面で対抗するのはこれまでより容易になるだろう。

 しかし、究極的な意味で今回の提携がもたらす最大の恩恵は、Barnes & Nobleに対する消費者の印象の変化かもしれない。電子書籍というコモディティの世界で、ブランディングは重要だ。また、多くの消費者は、企業が倒産した場合、「デジタルロッカー」に保存された自分の購入物が消えてしまうのではないかと懸念している。Bordersが倒産したとき、消費者は単にKoboへと移行した。Koboは既にBordersの電子書籍ストアを支援していたからだ。しかし、Barnes & Nobleが窮地に陥った場合に何が起きるのか、誰も正確には把握してはいない。そして、米CNETにNOOK関連の記事が掲載されたときには、Barnes & Nobleの行く末について懸念を示すコメント投稿者が必ず現れる。

 米CNETの読者であるtgibbsさんは先日、「NOOK Simple Touch with GlowLight」の登場についてコメントし、「わたしは常々、NOOKの設計はKindleより少し優れていると思っていた。しかし、わたしはKindleを購入した。Amazonならば今後も消えてしまうことはないという確信の方が強いからだ」と述べた。

 Microsoftのような巨大企業がNOOKを支えるようになったことで、消費者は、NOOKプラットフォームが今後もなくならないことに以前より大きな確信を抱くかもしれない。そうした安心感は、Barnes & Nobleが市場シェアを拡大するのを支援する上で、現金と同じくらい不可欠なものだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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