この1週間、社会から離れて暮らしていたという人でなければ、おそらく「Flashback」について耳にする機会があっただろう。FlashbackはAppleの「Mac OS X」ユーザーを標的とするマルウェアで、現在、世界中の60万台以上のマシンでひそかに動作していると考えられている。
ロシアのウイルス対策企業であるDr. Webが先週発表したこの数字は、米国時間4月6日にセキュリティ企業のKasperskyによって裏付けられた。Kasperskyによると、感染したコンピュータの98%以上はMac OS Xを実行しているという。
60万台というのは確かに大きな数字だが、過去の脅威と比べてどれほどなのか。
ウイルス対策およびコンピュータセキュリティ企業F-Secureの最高研究責任者(Chief Research Officer:CRO)であるMikko Hypponen氏は米CNETへの電子メールで、「今までで最大で、しかも群を抜いている。残念ながら、Macユーザーがマルウェアと無縁だった時代は、永遠に過去のものになってしまった」と述べた。
一方、ウイルス対策ソフトウェアメーカーBitDefenderのチーフセキュリティリサーチャーであるCatalin Cosoi氏によると、今回の感染はMacにとって、ここ10年間で最大規模のものである可能性が高いが、被害に遭ったMac OSコンピュータの台数を正確に測定する方法はないという。
「60万台というのは、2011年第4四半期に販売されたMac OSコンピュータの約12%に相当する。つまり、この3年間に販売されたMac OSデバイスの台数を考えると、感染した可能性のあるMac OSコンピュータの割合は1%以下と試算できる。その反面、パーセンテージでなく実際の台数に着目すれば、その数字は非常に恐ろしいものに思える」(Cosoi氏)
セキュリティ研究者たちは、Macにはこのような規模の脅威がいつ起きてもおかしくなかったと口をそろえる。その大きな理由は、同プラットフォームの人気が拡大していることだ。
IDCのデータによると、Appleは23四半期連続でPC業界を上回る成長率を記録しているという。「iPhone」や「iPad」など、同社の「iOS」デバイスは近年、当然のごとくPC業界をはるかに上回るペースの成長と総売り上げを達成してきたが、Appleは前四半期に500万台以上のコンピュータを販売し、Macの売り上げ記録も更新した。もちろん、それらすべてのコンピュータには同社の専用OSが搭載されている。
2012年2月時点でAppleのMac OS Xユーザーのインストールベースは6300万台に達しているというが、セキュリティ研究家によると、そうした成長が攻撃者の注目を集めてしまったという。
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