カリフォルニア州マウンテンビュー発--新興企業が出てくるペースは速いが、新しい「インキュベーター」や「アクセラレーター」の出現もそれに匹敵するようだ。名称はともかく、新興企業向けのブートキャンプとでも言うべきそうした会社は、米国のあちこちに出現している。
そして、その草分け的存在Y Combinatorの中心人物であるPaul Graham氏は、それらにほとんど注意を払っていない。同氏はただ、多くの会社が消え去ること、そしてそれらが間違った動機で設立されていることを確信している。
当地のコンピュータ歴史博物館で開催された、Y CombinatorによるDemo Dayの休憩時間に、同氏は筆者に「人々がこのようなサービスを行っているのは、そうすることが格好いいからだ。それはどんな服を着るかというのと同じで、ファッションにすぎない」と述べた。
Graham氏が数カ月前に確認したときには、65件のインキュベータープログラムを見つけたという。ただし同氏は、「インキュベーター」も「アクセラレーター」もまやかしの用語だと切り捨てている。
Graham氏は、それほど系統立てて調べたわけではない。同氏はY Combinatorの出資申込書からキーワードを取り出してGoogleで検索した。すぐにライバルのサービスが出てきたという。多くのサービスが、Y Combinatorの申込書の大部分を借用して、自分たちの申込書を作成しているからだ。
Graham氏が調べた数字でも少ないかもしれない。Y Combinatorのライバルで、シアトル、ニューヨーク、ボルダー、ボストンでアクセラレータープログラムを実施しているTechStarsの最高経営責任者(CEO)David Cohen氏は、現在このようなプログラムは150以上存在し、ほぼ毎日のように新しいプログラムが立ち上げられていると語る。
新興企業向けプログラムは、考えられる限りすべてのカテゴリに存在する。モバイル分野で働く女性のために特別に作られたプログラムさえある。
アクセラレータープログラム(1990年代後半のブームを思い起こさせる「インキュベーター」より、「アクセラレーター」という用語の方が筆者は好きだ)の設立ラッシュが始まったのは、会社の設立費用が大幅に安くなり、大金を出さなくても大きな挑戦ができるようになったからだ。一方で、その見返りが大きくなることもあって、多くの投資家は、次の大物に投資するための手段を探している。
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