筆者は膨大な数の新興企業が失敗するのを見てきたが、そうした企業はほとんどの場合、同じ理由で失敗する。多くの起業家が決まって同じわなにはまる。回避するのは非常に容易であるにもかかわらず、だ。
筆者は先週開催されたLondon Web Summitにおいて、聴衆である欧州の起業家たちに向けて、前途有望な新興企業が駄目になる原因だと考えられる7つの過ちについて話した。
筆者が考える新興企業の7つの過ちとは、以下のとおりだ。このよくある間違いを、何としてでも避けてほしい。
1. 焦点を見失う:もしあなたが典型的な起業家であれば、立ち上げる事業について、非常に多くの新しいアイデアを持っているはずだ。しかし、たくさんの機能を実現したいという欲求にはあらがう必要がある。むしろ、自社の製品に本当に役立つ数個の機能に集中するのだ。
ユーザーに多様な選択肢や機能を提供することは、優れたアイデアに思えるかもしれない。しかし、それはユーザーを混乱さるだけであり、フラストレーションを感じたユーザーは製品をやがて見限ることになる。シンプルさと集中が偉大な企業を作り上げる鍵だ。Googleが1000億ドルを超える規模の企業に成長できた理由は、1個のテキストボックスがすべてと言ってもよい。Squareがモバイル決済の分野でリーダーになったのは、多くのことを同時に実行しようとはしなかったためだ。
頭に浮かぶあらゆるアイデアを実現化させようとしてはいけない。すべてを可能な限りシンプルかつ合理的にしよう。そして、顧客が望むすべてのものを構築しようとしてはならない。肥大化した製品ができあがった末に、誰も使いたがらないという羽目になってしまう。
2. キャッシュフローを無視する:初期の新興企業にとっては、売上高や利益よりもキャッシュフローの方がはるかに重要だ。起業家の仕事とは、自社のために用意された助走路を可能な限り長期にわたって延ばす方法を見つけることである。
節約家になれと言う意味ではない。購入するものすべてがコスト以上の利益をもたらすように取りはからう必要があるということだ。筆者の所有する企業では、エンジニアのために可能な限り速い「MacBook Pro」を購入する。そのことでもたらされる生産性の向上は、コンピュータの先行コストを補って余りあるからだ。
3. 競争に気を取られすぎる:多くの新興企業は、Googleやほかの新興企業が構築しているものについて、過剰に頭を悩ませる。それらの企業が何を作っているかを気にしすぎると、その不安に基づいて製品を作るようになってしまう。競争はいつでも存在するが、優れた企業は競争ではなく、ユーザー体験に注力する。
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