Mozillaは「Firefox」の開発元としてよく知られている。しかし、2012年の戦略では、MozillaはFirefoxをはるかに超えたところまで範囲を広げ、オープンなウェブでエコシステムによる囲い込みを抑えようとしている。
Firefoxは、ブラウザにおけるMicrosoftの支配的立場がウェブに及ぼした影響に対抗するための、非営利組織であるMozillaの取り組みを具現化したものだ。しかし現在、米国時間2月12日に公開されたMozillaの2012年計画で明らかになったように、MozillaはAppleやGoogle、Amazonといったほかの大規模な競合他社にも照準を合わせている。
これらの企業やMicrosoftはそれぞれ、デバイスやOS、アプリストア、アプリを取り囲むエコシステムを構築している。Mozillaの考えでは、ユーザーはそうしたエコシステムのいずれかに閉じ込められることを心配すべきだという。
MozillaにおけるFirefox以外の最近のプロジェクトには、戯れのように思えるものもある。しかし今、Mozillaの発言は、戦う価値のある新たな大義を見つけたような印象を持ち始めている。
2012年計画文書の1つには、「Mozillaは、ウェブこそがプラットフォームであり、ウェブ全体がユーザーのマーケットプレイスであるべきだと考える」と書かれている。
Mozillaの2012年ロードマップ文書には、アプリケーションの基盤としてのウェブの改善や、オープンで分散型のウェブアプリテクノロジの開発、Mozilla独自のアプリストアの構築についての計画が詳細に記されている。そして、こうしたエコシステムを破壊する作業には、Firefoxの未来に向けた計画、ブラウザベースのモバイルOSを構築する取り組み、ウェブでのアイデンティティの問題に効果的に対処するための取り組みなどが伴う。
Mozillaは何年もの間、Microsoftの「Internet Explorer(IE)」が支配する世界でウェブブラウジングを近代化するための戦いを先導したが、それはいろいろな意味で過去10年間の競争だ。Firefoxのユーザーベースがメインストリームにまで拡大して、IEが世界を制することがないと明白になったことで、古い競争力学は粉々に砕け散った。
その代わりに、はるかに複雑なブラウザの力学が働き始めた。まず、Googleが「Google Chrome」をリリースし、デスクトップブラウザの世界に同社の強大な力を持ち込んだ。第2に、Microsoftが本来の立場に立ち戻り、MozillaやOpera、Appleが過去に独自にサポートしてきたウェブ標準を受け入れた。そして、新しいモバイル時代が始まった。そこではAppleの「Safari」が圧倒的な存在感を示し、Googleの「Android」ブラウザが急速に普及を拡大させている。
要するに、ブラウザ市場はほぼ間違いなく、これまでで最も競争が激化している。それは、Mozillaが単にIEの引き立て役以上のことを目指さなければならないことを意味する。Mozillaは2011年、複数の計画の調査に着手したが、現在、その中から優先すべきものを選択している。
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