IT企業大手同士による特許の蓄積競争は、全面戦争の抑止力として武器庫に核兵器をため込むことと比較されることがある。
この冷戦では、その例えが示唆するように、特許権者は裁判所で侵害訴訟の嵐に見舞われるよりも、休戦交渉を経てお互いの新技術に対するクロスライセンスで折り合いをつけることが多い。だからこそ、ライバルからの訴訟に対抗するには特許ポートフォリオが心もとないGoogleは米国時間8月15日、現金125億ドルでのMotorola Mobility買収に合意した。
だが、このたとえには1つ欠点がある。実際の冷戦では、政府が金を惜しまない限り新兵器の開発は続けられる。しかし、モバイル端末を巡る戦いの構図はそうではない。
知的財産を中心的に扱う投資銀行MDB Capital Groupの最高経営責任者(CEO)であるChristopher A. Marlett氏は「関連する特許ポートフォリオのうち、入手可能な大物は限られている」と語る。
確かにこれは軍備拡張競争であるが、入手可能な兵器の数には限りがある。Nortelが6000件の特許および出願中特許をAppleやMicrosoftが参加するコンソーシアムに45億ドルで売却した件、そしてGoogleによるMotorola Mobilityの買収提案など、最近の例にみられるように、兵器の入手がますます困難になっている。
Marlett氏によれば、米国におけるモバイル端末関連特許の保有企業上位20社(下の表を参照)のなかで、Motorolaに続いてモバイル端末用特許ポートフォリオの一部、あるいはすべての売却を検討する可能性がある企業は4社あり、それはResearch In Motion(RIM)、Alcatel-Lucent、Yahoo、ソニーだという。そして、リストに入っていない2社、Eastman KodakとInterDigitalも、白熱するモバイル端末用特許市場で売り手として登場する可能性があるという。
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