ダンスのパートナーを組んだGoogleとMotorola Mobility Holdingsは、選ばれなかった企業たちからの不安げな視線に、気まずい思いをすることになるだろう。
GoogleがMotorola Mobilityを125億ドルで買収するのは、主に知的財産を増やすことが目的だ。しかし一方で、ほとんど触れられずにいる問題がある。それはGoogleが、「Android」OSの開発元であることと、今回の買収で提携するベンダー各社の競争相手になってしまったこと、この2つの顔をどのように使い分けていくのかということだ。
Googleは、買収後もMotorola Mobilityを独立した部門として運営することを表明しているが、そこから1つの疑問がわいてくる。サムスン電子やHTCなどの携帯電話メーカーは今後、Googleを競争上の脅威とみなし始めるのではないだろうか?
「(Googleが)どのような言い方をしたところで、Motorola Mobilityが最も優遇されるパートナーになったことは間違いない。私がサードパーティーのベンダーだったら、深刻な懸念を抱くだろう」と、GartnerのアナリストであるMichael Gartenberg氏は言う。
Googleは、携帯端末事業には進出しないという約束を反故にしようとしている。このような懸念が最初に浮上したのは、同社が2010年初めに「Nexus One」をウェブサイトで直接販売し始めたときだ。このときGoogleは、パートナー企業と競争する気はないと述べていた。
しかし今回、GoogleがMotorola Mobilityのバックについたことは、すでに競争の激しい市場にさらなる潜在的脅威をもたらすことになった。Googleが、Androidのユーザー体験をより一貫性のあるものにしようとしているのに対し、ベンダー各社は今後さらに差別化を図り、基盤であるAndroidプラットフォームにはますます依存しなくなるだろうとアナリストらは予測する。
「たとえば、Googleが自社のハードウェア部門にAndroidのコードを優先的に提供すれば、他のベンダーは不利な立場に置かれることになり、それをきっかけとして、Androidプラットフォームへの関与を疑問視するようになるかもしれない」と、OvumのアナリストであるNick Dillon氏は指摘する。
今のところは、誰もが友好的な態度を崩していない。Googleの最高経営責任者(CEO)を務めるLarry Page氏は、開かれたエコシステムを維持するという同社の立場を繰り返し表明している。Googleは今回の買収に際し、一部の大手Androidベンダーから届いた賞賛の言葉を掲載したウェブページさえ公開している。
「われわれは今回の買収発表を歓迎する。これは、Androidとそのパートナー、およびエコシステム全体の保護にGoogleが真剣に取り組んでいることを示すものだ」と、HTCのCEOを務めるPeter Chou氏はそのウェブページで述べており、サムスン、LG、Sony Ericssonも同様の見解を表明している。
しかし、これらのコメントは「おざなりな褒め言葉」だとGartnerのGartenberg氏は指摘する。
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