「iPad 2」が発表されて以来、筆者がよく受ける質問の1つに、第1世代の「iPad」からiPad 2に買い替えるか、というものがある。筆者にとっての答えは「イエス」だ。なぜなら、これらのガジェットを日常生活の中で使用して、その長所や短所、魅力を理解することは仕事の一部だからだ。しかし、第1世代iPadの所有者の多くは、第3世代iPadが発売されるまで買い替えを控えるのではないかと思う。
なぜだろうか。iPad 2の本当の意味で大きな変更点は、見た目ではなく内部の再設計である。新しくなったのは、より高速になったプロセッサや内蔵グラフィックスなどだ。Appleはグラフィックスの処理速度について、初代iPadの9倍になったと公言している。また、カメラも2台搭載されているため、さらに多くのアプリケーションに可能性が開かれることになる。
しかし、Appleはもっと大きな変更を施すことができたはずだ。そのため筆者は、初代iPadユーザーの多くは喜んで購入を見送るだろうと考える。Steve Jobs氏が米国時間3月2日のイベントで示唆したように、Appleはそれほど多くの機能を追加する必要がなかった。Research In Motion(RIM)やHewlett-Packard(HP)といった競合他社は、いまだに自社タブレットを先に市場へ投入しようと競い合っており、「MOTOROLA XOOM」などのGoogleの「Android」搭載タブレットは、AppleのエントリーレベルのiPadより高価な上にタブレット向けソフトウェアのライブラリも小規模だ。
とはいえ、Appleが追加できたはずなのに追加しなかった具体的なものが5つある。今回はそれらを1つずつ分析し、搭載されていた場合にiPad 2に及ぼしていたであろう影響を考える。
Appleの「Retinaディスプレイ」テクノロジは「iPhone 4」で初めて登場し、その後、「iPod touch」の最新版でも採用された。宣伝文句はともかくとして、Retinaディスプレイは標準的なディスプレイの約4倍のピクセルを表示できる高密度ピクセルディスプレイだ。輪郭が滑らかなテキストをアプリケーションに表示できるほか、開発者はより細部にこだわったアプリケーションを作ることができる。
iPad 2で採用されていれば視覚面での魅力が大幅に増していただろうが、iPad 2に搭載されているスクリーンの解像度は初代iPadと同じだ。iPhone 4でRetinaディスプレイ対応のゲームやアプリケーションが証明したように、iPhoneのような小さな画面でそれほどの高解像度で表示できることは、テキストの細部や詳細な画像に劇的な効果をもたらす。
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