もちろん、ブラウザメーカーやウェブ開発者が積極的に取り組んでいる中で、W3Cが怠けているわけではない。しかし、W3Cのスケジュールとは全く対照的に、今日のウェブは急速に進化している。ウェブの役割は静的な文書を閲覧するための手段から、高度なアプリケーションを実行するための土台へと発展している。とはいえ、HTMLが複雑であること、同団体に参加している55の組織間に技術的および政治的な対立があること、HTMLへの関心がブラウザメーカーやウェブプログラマーを越えて広がっていることを考えれば、W3Cのスケジュールはそれほど驚くに値しない。
W3Cマーケティング部門の責任者であるIan Jacobs氏は、「より幅広い業界を対象とする世界規模の相互運用性を実現するには、単一のプラットフォームで安定性を実現するよりも多くの時間と投資が必要になる」と述べた。例えば、ウェブはPCでの現象として始まったが、今ではモバイルデバイスにも浸透しつつある。そして、次に来るのはテレビだ。このことはテレビの話題を取り上げた先ごろのW3Cのワークショップでも示されている。
「ここで重要なのは、多くの利害関係者がおり、その中には同じ速度で動かない者がいるかもしれないということだ。テレビとウェブに関するワークショップで寄せられたフィードバックの中に、テレビメーカーは製品寿命を7年と見込んでいる、というものがあった。W3Cはその使命として、すべての人がウェブを利用できるようにしなければならないため、さまざまな人々のさまざまなニーズを常に考慮する必要がある」(Jacobs氏)
しかし、W3Cが整然と前に進んでいる間も、HTML開発に携わる別のグループが方針を変えて、さらに流動的な仕組みを確立しようとしている。W3Cは2004年、HTML4への1999年のアップデートが最終版で、その後はXHTML 2.0という互換性のない標準に移行すると宣言した。Web Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)はそれを受けて、後にHTML5となる標準への取り組みを開始した。だが、XHTML 2.0は多くの点で行き詰まったため、W3Cは2007年にHTMLへの取り組みを再開し、現在はXHTML 2.0への取り組みを段階的に縮小している。
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