Googleや同社と同様の考えを持ったソフトウェアメーカーによって、多くの場合ユーザー側では一切操作することなく、ソフトウェアが常に最新の状態に更新される時代が始まろうとしている。
見方によっては、自分のコンピュータを自分で管理できなくなる恐ろしい事態と捉えることもできるし、便利さとセキュリティの向上をもたらす恩恵と受け取ることもできる。いずれにしても、このような形はますます一般的になりつつある。
筆者個人としては、この動きを歓迎する。
筆者は先日、ソフトウェアをいくつか手動で更新した。Googleの「Google Chrome」「Chrome Canary」「Picasa」、Adobe Systemsの「Flash Player」「Photoshop」「Premiere」「AIR」、Microsoftの「Windows 7」「Office 2008 for Mac」、Appleの「Aperture」、Mozilla Foundationの「Firefox」「Thunderbird」、加えて「Opera」と「Evernote」だ。これは本当にわたしがやるべきことなのだろうか。自動更新には互換性の問題が発生するおそれや、自分と異なる意図を持った企業に管理権を渡すことになるおそれがあるが、賢く利用すれば、よりよい成果を得られると思う。
かつてソフトウェアは、顧客にある程度の費用を転嫁して製造、出荷されたディスクで提供されていた。しかしインターネット時代の到来により、単にデジタル配信が可能になっただけでなく、頻繁に配信することが可能になり、プログラマーは小規模な更新を以前よりも頻繁に連続して提供するようになった。
要するに、多くのソフトウェアが、最終製品というより、常に仕掛品であるという状況になってきている。この変化と、コンピューティングテクノロジが人々の暮らしの多くの場面に普及していることが相まって、テクノロジを維持する負担がソフトウェアメーカー側に移ることになる。
ソフトウェアの監視と管理を支援するPreEmptive Solutionsの最高マーケティング責任者Sebastian Holst氏は、次のように述べている。「ブラウザやOSといった一般に普及した商品に関して、自動更新は技術に精通していないユーザーに大いに役立つだろう。更新の多くは、単に『あれば便利』といった拡張機能を追加するというより、新たなセキュリティの脅威に対処するものだ。もし煙探知器の電池を自動的に交換できたとしたら便利ではないだろうか。そのような単純な作業を、マイホーム所有者に、自身の身を守るために行ってもらうよう働きかける努力をする必要があるならば、ソフトウェアを意識的に更新することをコンシューマーに期待するというのは、どれほど現実的なことなのだろうか」
こうした自動更新の風潮の主な例はブラウザだ。Googleは2年以上前にChromeをリリースしたとき、ブラウザがひそかに(「サイレント」で)自動更新するプログラムをひっそりと開始した。Chromeは定期的にサーバにアクセスして更新があるかどうかをチェックして、更新が見つかればダウンロードし、ブラウザまたはコンピュータが再起動されたときにインストールして使用できるようにする。
Googleは当時、「機能の変更を伴うメジャーバージョンアップデートについては、ユーザーに変更に関する詳しい情報を提供するオプションも検討する」と述べたが、今に至るまでいわば沈黙(サイレント)を守ったままだ。現在サイレント自動更新としている根拠について、Googleは次のように説明している。
主な理由は、ユーザーの作業を最小限にとどめながら、できる限り多くのユーザーにソフトウェアの最新バージョンを使用してもらうこと、それによってできる限りセキュリティを高めることだ。(ユーザーの許可を待つこと)が求められるのは、特定の管理上のケースや企業環境のみであることが分かった。そのようなケースについては、標準的な管理メカニズムを通じて自動更新をコントロールできるようにしている。
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