「Googleがこれをどれほどクリーンルームに近い状態で行ったかについてはさまざまな議論がある」。GoogleのAndroid戦略に対するSunの反応について詳しい情報筋の1人はこのように述べる。この情報筋によると、当時Sunのソフトウェアグループを率いていたRich Green氏は、Googleの本社があるカリフォルニア州マウンテンビューに十分なクリーンルームはないと話していたという。
実際に、Javaに関する重要な専門的知識がSunからGoogleへと移った。GoogleのCEOのEric Schmidt氏もその主な例だ。Schmidt氏はかつてSunの最高技術責任者(CTO)を努めていた。Googleが2005年に雇った従業員で注目に値するのはTim Lindholm氏だ。Lindholm氏は、Sunでモバイル版Javaの開発作業を先導し、「The Java Virtual Machine Specification」という書籍を共同執筆している。Googleはほかにも、Joshua Bloch氏やScott Violet氏、Chet Haase氏といったJavaエンジニアを雇っている。「LinkedIn」のプロフィールによると、Haase氏はSun退社後Adobe Systemsにしばらく勤務し、現在はAndroid関連の仕事をしているという。
「GoogleはJavaに関わったSunのエンジニアを大勢雇用した」と両社の関係に詳しい別の人物は話す。
Oracleはこの件に関してコメントを控えた。
Googleの広報担当者にコメントを求めたところ、次のように話してくれた。「Oracleがこの根拠のない訴訟によって、GoogleとオープンソースJavaコミュニティーの両方を攻撃する決定を下したことにわれわれは失望している。オープンソースJavaコミュニティーはいかなる1企業の枠にも収まらない存在であり、ウェブをより良い場所にするために日々努力している。われわれはオープンソース標準を強固に防御し、業界と協力してAndroidプラットフォームの開発を今後も続けていくつもりだ」
JavaをめぐってSunとGoogleの関係が冷え切っている現状は、両社が提携を発表した2005年の状況から大きく変化している。この提携には、Sunが「Google Toolbar」ソフトウェアをJavaと一緒に配布すること、「Microsoft Office」の競合製品であるSunの「OpenOffice.org」ソフトウェアをGoogleが宣伝していくこと、そして、GoogleがJava Community Processへの関与を強めることなどが盛り込まれていた。
Javaはオープンソースソフトウェアだが、GoogleはSunのJava提供に関する条件に不満を抱いていた。JavaはGNU General Public License(GPL)によって保護されていた。そのためGoogleは、携帯電話メーカーに対し、「Androidを使うと同ライセンスの共有条項の下で自社のソフトウェアのソースコードを公開しなければならなくなるのではないか」という不安を与えたくなかった。
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