グーグルとサンが提携--ソフトウェアの普及などで協力へ

Stephen Shankland(CNET News.com)2005年10月05日 11時49分

 カリフォルニア州マウンテンビュー発--Sun MicrosystemsとGoogleは米国時間4日、ソフトウェアの普及と開発で協力することを発表した。複数年にわたるこの契約の対象には、Sunの「OpenOffice.org」「Java」「OpenSolaris」や、GoogleのToolbarなどが含まれている。

 両社はまず今後30日以内に、Sunのウェブサイトからダウンロードできる「Java Runtime Environment(JRE)」にGoogle Toolbarを含める。SunのCEO(最高経営責任者)Scott McNealyによると、JREは1カ月あたり2000万回ダウンロードされているという。

 McNealyは当地で開いた記者会見で、NetscapeとSunが1995年に結んだ提携に言及し、「NetscapeがJREに対して果たした役割を、JREがGoogleツールバーに対して果たせると思う」と語った。当時のNetscapeは圧倒的なシェアを持つウェブブラウザメーカーで、この提携によりSunのJavaソフトウェア技術が標準の座を確立し、大々的に普及することになった。

 Google Toolbarをバンドルすることは、Sunのメリットにもなる。SunのJohn Loiacono(ソフトウェア担当エグゼクティブバイスプレジデント)は、「われわれは、同ツールバーの配信メカニズムになることから、直接金銭的な価値を得られる」と語った。さらに、GoogleはSun製サーバの購入台数を大幅に増やす。ただし、両社ともモデル名は明かしていない。

 この提携で、「大々的に普及したコンピュータネットワークによって世界を作り替える」というビジョンを共有する2社が手を取り合うことになった。Sunには、Google、eBay、Salesforce.comなどに、バックエンドのインフラとなるサーバを提供したいとの考えがあり、一方Googleにはごく普通のコンピュータユーザーに自社のサービスを日常的に使ってもらいたいとの思いがある。

 両社が開発中のソフトウェアは、どれもMicrosoftと競合するものばかりだ。たとえば、JavaはWindowsやMicrosoftの.NETなどに代わるプログラミング基盤を提供するものであるし、OpenOfficeはMicrosoft Officeと競合する。一方、Google Toolbarは、MicrosoftがMSNを通じて売り込もうとしているものにではなく、Googleのサービスとつながっている。

 Google CEOのEric Schmidtは、Microsoftとの競争に直接言及することは避けた。しかし、Sun社長のJonathan Schwartzはそこまで控えめではなかった。同氏はインタビューのなかで、「.NETを進化させるためにGoogleとMicrosoftが手を組む姿を想像できるだろうか。わたしが知る限り、それはない」と語った。

 両社は今後、それぞれの期待に応えなくてはならない。Robert Frances GroupアナリストのMichael Dortchは、「この提携を早急に前進させる必要があり、両社にはそのプレッシャーがかかっている」と述べている。

 それでもDortchは、両社の協力が実り多いものになると予想している。

 「両社はともにオープンソースソフトウェア、共有、参加を推進しており、今回の提携も(トップ団ではなく)より草の根に近い部分で話が進んだ」と同氏は言う。「すぐに、ほかにも何かが出てくると確信している。この提携には膨大なお金と名声がかかっている」(Dortch)

 両社はさらに、別のソフトウェア配布契約を結ぶことも検討している。ネットワークの帯域幅が拡大し、通信コストも下がれば、このような提携が一段と重要性を増すと、Schwartzは考えている。「われわれは、各々のもつアセットを1つにまとめて、互いの流通経路を利用できるようにすることを検討している」(Schwartz)

 Schmidtによると、このような取り組みの一環として、GoogleはOpenOffice.orgの普及を支援することになるという。「われわれは、同ソフトウェアをさらに広く配布させることに取り組んでいく」(Schmidt)

 また、Schwartzはインタビューのなかで、OpenOffice.orgにGoogleの検索ボックスが提供されることになると語った。これは、開発を行うオープンソースコミュニティを説得できればという仮定の話だが、説得はさほど難しくはないはずだ。のちにOpenOfficeになるソースコードの公開を決めたSunは、いまも同プロジェクトに深く関与している。

 今回の提携の内容は、その多くが今も公表されていないが、Sunの幹部らが内容を示唆する発言やいくつかの詳細を明らかにしている。

 Loiaconoは、両社が共同で研究開発とマーケティングを行い、GoogleはJava Community Processなどの各種技術への関与を深めることになると述べた。また、McNealyによると、GoogleはSunのOpenSolarisにもかかわっていくという。「Open Document Format、OpenOffice、OpenSolarisの研究開発に関する大規模な連携戦略を用意している」(McNealy)

 GoogleとSunには既に結びつきがある。たとえば、Schmidtは1990年代にSunのCTO(最高技術責任者)を務めており、またKleiner Perkins Caufield & ByersのベンチャーキャピタリストであるJohn Doerrは両社の取締役となっている。さらに、Sunの共同創業者で、Galaxyサーバ投入のために同社に復帰したAndy Bechtolsheimは、Google創業時に同社に10万ドルを出資している。

 本契約の金銭面の条件は明らかにされていないが、McNealyは、投入資金が膨大な額に達する可能性を示唆した。「適切に進めていけば、膨大な金額が両方向に流れる」(McNealy)

 資金が流れると思われる分野の1つが、Sun製サーバの購入だ。McNealyによると、Sunはドットコムの「ドット」の地位に返り咲きたいのだという。また、顧客は有力なリーダーに追随する傾向にあるため、Googleとの提携には非常に大きな意味があるという。

 「eBayのサイトに行くと『Powered by Sun』の文字がある。SalesforceでもSunのサーバが動いている。そして今回、われわれはGoogleと提携した。これがさまざまなウェブサイトに対して、明確なメッセージを送ることになるだろう」(McNealy)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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