Javaをめぐるオラクルのグーグル提訴--サン時代に撒かれた不満の種 - (page 3)

文:Stephen Shankland(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル、編集部2010年08月18日 07時30分

 「GPLに関してわたしが心配しているのは次のようなことだ。仮にサムスンがLG(製の携帯電話)と特徴や機能性が異なる携帯電話を作りたいと考えたとしよう。その携帯電話上のすべてがGPLだとしたら、サムスンは同社が手がけたあらゆるアプリケーションやユーザーインターフェースの改善を還元しなければならない。GPLはアプリケーション層では機能しない」。GoogleのAndroid担当エンジニアリングディレクターであるAndy Rubin氏は、2008年のインタビューの中でこのように述べた。

 SunはPCとサーバを対象とする「標準版」のJavaについては、もっと寛容なアプローチを採用していた。その1つが「クラスパス例外(classpath exception)」で、これはプログラマーがGPLの下でのコード公開を求められる可能性を心配せずに、GPLコードにリンクすることを認めるものだ。

 しかし、Sunはモバイル版Javaにはクラスパス例外を盛り込まなかった。そのため、Javaを使いたいモバイルデバイス企業(そういう企業は多かった)はSunのテクノロジを使用するために、より慣習的なライセンス料を支払う羽目になることが往々にしてあった。

 これは大きな収入源になった。SunのJavaへの取り組みに詳しい情報筋によると、モバイル版Javaに関するロイヤリティ支払いの金額は年間10億ドルを超えていたが、Oracleによる買収が実施されていた時期には、数億ドル規模まで減少していたという。

 したがって、Androidの大成功を目の当たりにしたOracleが、同OSについてもロイヤリティが支払われるべきだと考えるのは不思議なことではない。

大金を費やして特許侵害訴訟を起こす理由

 裕福なテクノロジ企業にとっても、特許侵害訴訟は多額のお金がかかる。その理由の1つとして、特許侵害訴訟は関係者である幹部陣やエンジニアの時間を大量に奪うことが挙げられる。しかし、企業はそれでも訴訟を起こす価値があると判断することがある。

 その理由の1つはお金だ。Oracleは訴訟で要求する具体的な損害賠償額を明らかにしていないが、同社はGoogleが「故意」に7件の特許を侵害したと主張している。これは、Oracleの主張が認められれば、支払額は3倍になることを意味している。

 2つめの理由は知的財産だ。特許侵害訴訟では、双方の当事者に相手の特許取得済みテクノロジを使用する権利を認めるクロスライセンス契約の締結によって、和解が成立することが多い。この場合、優れた特許ポートフォリオを保有している側が年間の支払いを受け取ることがよくある。Googleは比較的歴史の浅い企業だが、その特許の数は増え続けており、初期のSunに匹敵するエンジニアリング文化を有している。

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