テクノロジ業界において、配当金は慣習ではなく、むしろ例外だが、現金の大量備蓄は一般的に行われている。参考までに、Microsoftは現金と短期投資で368億ドルを保有している。Ciscoは391億ドル、Googleは245億ドルだ。
コンピューティング企業にとって、より多くの現金を手元に置くことは、別の問題になることもある。ほかの企業なら事業に出資して安全網を張るのに現金が必要になるが、コンピューティング企業はこれまで、テクノロジ業界の猛烈なペースの変化に対処する必要がなかった。テクノロジ業界では、新たに開発されたものがほんの数カ月のうちに1つのテクノロジを時代遅れにしたり、別のテクノロジを極めて重要なものに押し上げたりすることがある。多額の現金を保有していれば、例えば買収によって、新しい市場に迅速に参入することができる。
しかし、460億ドルというのは、非常に多くのものを買収できる金額だ。買収金額の20%の割り増しを計算に入れても、Fortune 500企業の439社を買収できる。このような柔軟性があるのは素晴らしいことだが、それはAppleを評価する株主に不安を与える要因にもなるとSacconaghi氏は言う。
「株主への現金還元は、価値を破壊する大規模な買収の可能性に対する投資家の不安を和らげ、財政的な規律を生み出すだろう」(Sacconaghi氏)
Sacconaghi氏は、Appleが2011会計年度にさらに約200億ドルの現金を生み出すと試算している。それを考えると、300億ドルの株式買い戻しを実施して4%の配当金を支払っても、2011会計年度末には250億〜300億ドルが帳簿に残る計算になり、「十分な財政的柔軟性」を実現できるという。
Sacconaghi氏は、300億ドル分の株式を買い戻すと、発行済み株式は13%減少し、それに従って1株あたり利益が増加すると述べる。
同氏は透明性を改善するよう忠告して書簡を締めくくった。「最も重要なことかもしれないが、われわれはAppleに対し、継続的な対話に参加し、現金の使い道に関して株主にもっと多くの情報を開示するよう促している。取締役のあなた方は、株主の利益の法的な管理人である。そして、株主から話を聞いたところでは、Appleはこの問題に関して株主の意見を十分に聞いてこなかったようだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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