古くなったテクノロジと、ウェブをアプリケーション実行基盤として再構築する構想に取り組む各ブラウザメーカーは、クラウドコンピューティングの一見基本的ではあるが非常に重要な要素の下に集まり始めた。
その機能はローカルストレージというもので、その新しいメカニズムは「Indexed DB」と呼ばれる。
Indexed DBはOracleが提唱し、当初は「WebSimpleDB」と呼ばれていた。現段階ではその大部分がプロトタイプでしかなく、まだウェブプログラマーが使用できる状態ではない。しかし、Indexed DBは既にMicrosoft、Mozilla Foundation、Googleからの支持を得ている。そして、「Internet Explorer(IE)」「Firefox」「Google Chrome」のユーザー数を合わせると、今日のネットユーザーの90%以上に相当する。
「Indexed DBは、FirefoxにとってもMicrosoftにとっても興味深いものだ。したがって、われわれがプロトタイプを作成し、出荷したいと思える段階になれば、Indexed DBは非常に広い範囲に普及するだろう」。Mozillaのエバンジェリズム担当ディレクターChris Blizzard氏はこのように語る。
標準化の動きが始まる可能性もある。支持者たちは、HTMLなどのウェブテクノロジの標準化を推進するWorld Wide Web Consortium(W3C)が、懸案事項にIndexed DBを加えるよう働きかけてきた。Indexed DBはW3Cでの討議の中で、第5位のブラウザ「Opera」から温かい歓迎を受けた。
意外かもしれないが、データをローカルのコンピュータ上に保存する機能が、今まさに始まろうとしているウェブアプリケーション時代の非常に重要な部分となっている。クラウドコンピューティングの根本的な考えは、アプリケーションをネットワーク上に置くことで、アプリケーションが特定のコンピュータに縛られないようにすることだ。しかし、コンピュータは依然として重要であることが分かった。なぜなら、ネットワークは高速でもユビキタスでもないからだ。
ローカルストレージを利用することで、ウェブプログラマーはプロセッサがアクセスしやすいコンピュータ上にデータを保存することができる。これにより、例えばユーザーがネットワークに接続していないときでも、「Gmail」や「Google Docs」の一部の機能を利用することが可能になる。データをコンピュータ上にキャッシュして、後から高速でアクセスすることもできる。ウェブアプリケーションの全体的な状態はサーバ上で管理されるが、ローカルにデータを保管しておくことで、クラウドコンピューティングの速度と信頼性を高められる。
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