クラウド時代を担うローカルストレージ--注目のウェブ技術「Indexed DB」 - (page 3)

　「Safari」はWeb SQLをサポートしている。「Chrome 4」やOperaも、同テクノロジがウェブ上で使われ始めて以来、サポートしている。

　だが、Web SQLは問題に直面した。SQLには、それをサポートするデータベースと同じくらい多くのバリエーションがあり、Web SQLは「SQLite」と呼ばれるソフトウェアのものを使用していた。しかし、そのインターフェースは標準化されていない。

　Googleのブラウザプラグイン「Google Gears」は、GmailなどのサービスへのオフラインアクセスにSQLインターフェースを使っている。しかし、Googleの広報担当者Eitan Bencuya氏によると、同社は「SQLの方言は現在、仕様が決まっていない」との懸念を共有しているという。「この機能に関してサポートされるべきSQLの正確な方言を、より詳細に仕様書に記述することについては、現在も議論が続いている」（Bencuya氏）

　AppleのプログラマーであるMaciej Stachowiak氏は、ローカルストレージテクノロジに関するW3Cの話し合いで、Web SQLは複数のバージョンが出荷されることになると指摘した。しかし、同氏の主張は支持を得られなかった。

　「5つ全部で実装されていない仕様には取り組みたくない」。HTML5仕様の策定者であり、Googleの従業員でもあるIan Hickson氏は、W3Cの会合でこう述べた。同氏は、主要5大ブラウザメーカーすべてからのサポートがないことに言及している。

　そして実際に、仕様書の草案には次の文言が追加された。「本仕様は行き詰まってしまった」。その理由は、SQLiteインターフェースを使用するためだという。同草案では、独立したSQLインターフェースに興味のある人は、「策定者がその方言の仕様書を作成して、この仕様を前に進められるように、策定者に連絡してほしい」としている。

Indexed DBの登場

　Indexed DBはブラウザにデータベースのアプローチを持ち込むものだが、インターフェースを非常に低いレベルに抑えている。

　MicrosoftとMozillaは、これが正しい戦略だということで合意している。プログラマーは、Indexed DBという素材の上により洗練されたインターフェースを構築することもできる。ブラウザのJavaScriptプログラムテクノロジではまさにそれを実行し、「jQuery」や「Dojo」「YUI」など、洗練されたウェブの構築に広く利用されているライブラリを構築した。