2010年は「3Dテレビ」元年--キワモノから市場形成へ離陸 - (page 3)

ハリウッドと組むパナソニック、ソニーはゲームを積極展開

 ここで各展示会などで出展された各社の3D対応テレビの印象とコンセプトを書いておこう。

 パナソニックは2010年発売予定の3D対応50V型フルHDプラズマテレビと3D対応のBlu-ray Discプレーヤーを展示し、製品化の一歩手前まで来ている、という印象であった。

 プラズマは比較的応答速度が速いので、標準速の左右の映像を2つ(液晶で言うところの倍速)表示することで3D映像を実現している。左右の映像のクロストーク(干渉)を減らすために、プラズマ発光の残光を低減し、発光効率を向上した「Neo PDPパネル」を採用している。プラズマの発光を抑えたためか、透過率の低い液晶メガネをかけると画面がやや暗く感じられたが、3D映像の画質は完成度が高く、フリッカーは目立たない。

  • パナソニックは3D映画「アバター」とタイアップして、3D対応映像機器のプロモーションを展開

 パナソニックは、20世紀フォックス映画配給、ジェームズ・キャメロン監督の3D映画「アバター」とタイアップして、3D対応映像機器のプロモーションを展開している。映画会社を傘下に持つソニーに先んじて、大々的なプロモーションに打って出た形だ。また、米国ハリウッドにある同社の「パナソニック ハリウッド研究所(PHL)」に「PHLアドバンスドオーサリングセンター」を2月に設立し、3D対応のBlu-ray Discオーサリングを支援している。

 ソニーも3D対応の液晶テレビ「BRAVIA」をメインに「2010年のBRAVIAは3D」を強くアピールしている。3D対応の4倍速フルHD「BRAVIA」と「映画」「ゲーム」「スポーツ」などジャンル別に3D映像を見せるなど、多くのソースに対応することを裏付けている。32V型以下の3D対応の小型テレビは、主に3Dゲーム用途が主流になると予想できる。

 倍速表示がほぼ標準となった液晶テレビで3Dを実現するには、倍速画面を左右2つ、4倍速で表示する必要がある。同社がいち早くBRAVIAに4倍速パネルを採用したのは、3D対応を見越した戦略であったといえるだろう。3D画面にはややフリッカーが感じられたが、画面は比較的明るかった。

  • ソニーは映画、スポーツのほか、ゲーム用3Dソフトもアピールしている

 ソニーは、同社が傘下に持つソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの3D映画との連携が強みであるほか、「PlayStation 3」(PS3)などとの連携で、ゲーム分野でもアドバンテージを発揮できそうだ。また、プロ用カメラなど放送機器のメーカーである点では、パナソニックと同様にトータルな3D化が図れるだろう。

 シャープも2010年発売予定の3D対応「AQUOS」の60V型液晶テレビを参考出品している。展示機は白色LEDバックライトを搭載した4倍速フルHD液晶パネルを採用。これは最新の液晶製造技術「UV2A」を採用した最新パネルである。

  • シャープでは60V型のフルHD3Dテレビを出展

 「AQUOS LX1」シリーズに採用されたUV2Aパネルは、高輝度で省電力、応答の早さが特徴で、3D対応でも高輝度LED+UV2Aパネルのメリットはいきている。デモでは画面が明るいのが印象的だった。

 シャープの3Dデモはほかより明るいリビング照明の元で行われていたが、液晶メガネをかけても暗さは感じられなかった。また、クロストークやフリッカーの少なさにもUV2Aパネルのメリットが感じられた。首をかしげて液晶メガネの偏光軸がずれると3D映像が暗くなってしまう、というのが液晶メガネ方式のデメリットであるが、同社の3Dシステムはメガネの偏光軸がずれても画面が暗くなりにくい独自の機能を採用している。

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