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誰のためのフリーか?--ユーザー中心のフリー・ビジネス・デザイン新論

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 なんでも「タダ」はむしろユーザーにとって負荷になっていることも多い。ユーザー視点から、ユーザー負荷の低減というフリー(解放)をこそデザインが重要で、モバイル環境が整った日本は世界で最もその実践に適した市場だ。

ガンダム立像というフリービジネスモデル

 7月11日から8月31日までの期間限定でお台場の潮風公園に立つGreen TOKYO ガンダムプロジェクト:HG RX-78-2の18メートル「実物大」立像には、1日3万人、52日間で累計150万人の来場者が見込まれていた。が、ふたを開けてみると、7月27日(公開16日目)で100万人を突破(1日平均6.25万人)し、8月14日(公開35日目)で200万人突破(同平均5.71万人)するほどの大人気。来場者は日本からだけではなく、アジア各国や遠くは欧州、米国などからガンダム詣でしているものも少なくない。

 この原稿を書いている8月最終日、生憎、台風11号の接近によりクロージングセレモニーは中止された。しかし、8月後半は潮風公園にはこれまで以上の参拝者が訪れ、8月30日までに累積415万人に到達したという発表がなされた(1日平均8万人)。

 この事業の成功は、ガンダムというモチーフそのものの魅力も大きいこともあるが、仮想のガンダムの「実物大」の立像をつくってしまうというテーマ設定、そしてなによりここまでの規模の成功を実現したのは立像体験が無料だということに尽きるのではないか(ここで、なぜGreen TOKYOとガンダムがつながるかについては、議論しないでおこう)。

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※ しかし、どうして「立像」なんだろうか? なぜ「本物のガンダム(コアファイターとビーム・サーベルなどの武装はなくていいので)」を作ろうとしないのか。もちろん、実際に作るとなると膨大な費用が発生するのはわかるが、まずは作りうるのかどうかの検討だけでもしてはどうだろうか。途中、建造や起動が困難になる技術的な課題が判明したとしても、それがわかるだけでも価値があるだろうし、きっと誰かがそれを解決するきっかけに、あるいは代替する技術開発が加速される起点となるだろう。

 日本のロボット科学者のほぼ全員が、アトム、マジンガー、あるいはガンダムに幼い頃に触発されたといっているのだから、彼らやその周辺領域の英知を集結させ、ガンダムをサイバースペースでシミュレートするバーチャル「アナハイム・エレクトロニクス(ガンダムのストーリーの中で語られるモビルスーツ製造会社の名称)」プロジェクトをクラウド・ソーシングでやってみる価値はないか。誰かスポンサーをしてくれないだろうか……。

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 ガンダムの立像を公園の中や外から見るだけはタダ。並んで、待って、足を触るだけでも、タダ。ただフォトスタジオやイベントへの参加、ガンプラやムックなどの限定オフィシャルグッズ、あるいは周辺の飲食などは有償だ。

 当然、ガンダムを見に来る人の多くは、その記念に、あるいはそもそもファンであるためなどの理由で、タダでガンダムを見るだけでは満足せず、わざわざカネを落としていく人の数は少なくない。とはいえ、そんなわざわざカネを落とすことを前提とした収益と企業などからの協賛金によって「ガンダム立像」は構築され、その運営の費用を賄ったのだ。

 もちろん、余剰金はパラリンピック招致や環境関連のプロジェクトに投入されることになるのだろう。今回の目玉であるガンダム立像という「コンテンツ」そのものはフリー=何の対価も求めていない。それゆえに国内外から300万人以上の「参拝者」を集めることができ、母集団そのものが大きくなったがゆえに、周辺からの収益も大きなものになったのだ。

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